明日へ…第二部17

ある夜、僕は用を足そうと思い、地上へ出た。
街はその機能を完全に失い、当然、電気もガスも水道もストッブしているので、トイレは使い物にならない。

その時、アキラの叫び声が聞こえた。慌てて寝床へ戻ると、床のタイルがやたらぬるぬるしている。
その横で、見知らぬ男が二人がかりでアキラの右足を付け根から切り取ろうとしていた。
アキラは絶叫する。
僕は慌てて一人の背中を突き飛ばした。二人は一瞬ひるんだようだが、次の瞬間、ぼきっと骨の折れる鈍い音が響いた。
僕は狂ったように男たちに飛び掛かろうとしたが、血で足下がすべる。
僕が床で血にまみれている間に、男たちは残りの肉を乱暴に切り裂き、切り取った足を抱えて駆け去っていった。

アキラの足から血が吹き出してくる。僕は動揺していた。どうすればいいのか分からず、必死で血を止めようと傷口に手をあてがうのだが、血は流れ続ける。
アキラも、最初は泣き叫んでいたが、足から吹き出す血の勢いが弱まるにつれて、声にも力が無くなり、やがて、ガクリとうなだれた。
どんなに大声で叫んでも、ピクリともしなくなった。

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