明日へ…第二部16

新しい死体はすぐに消えてゆく。死体が一つでると、数人の命が数日の間長らえる。
やがて、誰もが誰かの死を待ち望むようになっていった。
長く、といっても二日か三日程度だが、死体がでないことがある。
そんな時、およそ死にそうになかった者が突然、血を流して死んでしまうことがある。
何が起こったのか、なぜその者が死んでしまったのか、皆はよく知っているが、誰も何も言わず、ただ黙々と口を動かしている。
神が与えた食料なのだ。

夜になってもおちおち寝ていられない。
次の食料は誰になるのだろうか。
僕は生き残りたい。たとえ世界がどうなろうとも僕は生き残りたい。
しかし、誰もが誰かを狙っている。いつ誰が死んでもおかしくない。
闇の向こうで常に何かが動いているような気がする。いつも誰かに見られているような気がする。
どこか、もっとましな場所に行きたい。一日も早くこの地獄から抜け出したい。
だが、きっとどこへ行っても同じなのだろう。

BACK | 明日へ…Index | Novels Index | TopPage | NEXT