明日へ…第二部10

ある日、僕はサイレンの音で目を覚ました。近所で火災が発生したようだ。僕は急いで服を着替え、外へ飛び出した。
火は目と鼻の先で暴れている。実際に火事を目の当たりにするのはこれが初めてだった。
空はまだ薄暗いので、火は周囲を明るく照らし出す。
ずっと向こうの方でも二、三ヶ所、空が焼けている。
振り向くと、そこにもあそこにも火があがっている。
夜明け前の街に火をつけて回っている奴がいるようだ。
木造建築の多いこの地域では、火がすぐに燃え広がってしまう。

やがてガソリンスタンドの方から大音響が聞こえ、その場所に大きな火柱があがる。
狙ったかのように強風が吹き、火を煽っていく。

夜が明け、火がおさまったとき、街の三分の一が焼け落ちていた。

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