明日へ… 第二部1

「タイムマシン完成か」
ある日の新聞の一面にそんな文字が躍った。四年前のあの日、我々が見た光景が現実に起こり得るものだとしたら、期限はあと一年。人類は未来を変えた。あと一年の間に何が起きようとも、我々はきっとそれに対抗することができるだろう。世間にはそんな空気が流れていた。
タイムマシンが完成したのなら、もう一度同じ日に行こう。
そんな声に押されるように、タイムトラベルの日が決定された。もう一度、明日へ…。一年後のあの日に。

決行当日、世界中の人がテレビの前で緊張していた。祈るような気持ちで、皆が皆、まばたきするのも惜しんで画面を見つめていた。

秒読みが開始され、マシンの影が薄れていく。やがて大音響とともにマシンが消え、映像がマシンに設置されたカメラに切り替わる。
大衆の歓迎が待っているはずだ、その歓迎の波の中で英雄になりたい、と操縦士に志願する者が殺到したほどだ。誰もが明るい未来を信じていたし、だからこそ多くが英雄になりたがったのだ。そして今、その瞬間が訪れる。

誰もがテレビの前で胸を躍らせていた。我々は未来を変えたはずだ。その結果が今、目の前に現れようとしている。灰色の画面に少しずつ景色が浮かび上がってくる。まるでテレビが意思を持って我々をじらしているかのように、ゆっくりと像が結ばれてゆく。

そして像が鮮明に結ばれた時、世界を絶望が襲った。

何も変わっていないではないか…

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