明日へ… 第一部2

画面は灰色に変わり、タイムマシンは現在へと帰ってきた。あの男は何者なのか。これからの五年間に一体何が起きようとしているのか。原因解明のため、再びタイムマシンを未来へ派遣することになった。

だが、再派遣を急ぎ過ぎたためにエネルギー不足に陥ったのか、それとも一回目の派遣の時に故障した箇所に気が付かなかったのか、いずれにせよ、マシンは消滅してしまう。新しいタイムマシンの作成はすぐに開始されたが、なかなかうまくいかない。

 

新聞には毎日のように学者をはじめとする文化人のコメントが載っている。なぜ2度目の派遣が失敗したのか? 僕はその失敗こそが大きなカギを握っているような気がしたのだが、そういった類のコメントは理論的、技術的な内容に終始し、僕が納得できるような内容ではなかった。僕自身も、なぜそんなことが気にかかるのかは分からない。

世界の各国政府も、映像をもとに、街が廃墟となった原因を突き止めようとしている。
住宅街は焼け野原だが、ビルなどは、中を荒らされてはいるが、建物そのものは比較的きれいに残っているので、戦争が起こったとは思えない。
疫病だろうか? なにかとてつもなく恐ろしいウイルスでも発生したのだろうか。ではなぜ住宅街が焼けているのだろう。隔離政策の一環としては原始的すぎる。それに死体は街中いたるところに散乱している。いくらなんでも、こんなひどい処理の仕方はないだろう。
だが、急激な発症により、歩いている人間がバタバタと倒れて死んでいったということも考えられる。だとすれば、よほど強烈なウイルスが、ある日突然襲いかかってきたことになる。

また、別の可能性として、地下から何らかの形で毒ガスが噴き出してきたか、あるいは誰かが何らかの意図で毒ガスをばらまいたのだろうか。世界中に?

しかし、映像の最後に生存者が映っている。彼はなぜ死ななかったのだろうか?

 

他にも様々な説が飛び出してきた。宇宙人の来襲、新兵器の開発による破壊、その他、およそ思い付く限りの説が出てきたが、そのどれもがどこか説得力に欠け、しかし、どれもがその可能性を秘めていた。

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