読書日記 

 2003年6月

今月も音楽関係の本が多数を占めるだろう・・(予言)


 「ピアノの森」 1〜8 一色まこと 講談社アッパーズKC 

  もう題名そのまんまのピアノのお話。「天才型」のピアノと「秀才型」のピアノ、2人の
 少年の話。一色まことという人は、「ハッスル」という女子プロレスの話(これも面白いです)
 の頃から思ってたんだが、顔の表情の描きかたがとてもユニークで、いきいきしてて
 面白い。特に子供の顔とか。で、この話は子供メインなのでその特色がもろ出てて
 純粋に絵を見るのが楽しい。それに加えて話も面白いんだーこれが。
 なにより読んでてわくわくするよ。テンポよく読めるし。
 音楽の話は、演奏場面をどう描き出すかってのがポイントだと思うんだけど、これは
 表現が変わっていておもしろい。ピアノが聴きたくなってくるね。
 天才型のカイくんの成長も楽しみなんだが、私は秀才型の雨宮君に肩入れ。
 コンクール受けする雨宮君が天才型のカイの演奏に打ちのめされて・・そのままやっぱり
 天才を超えられませんでした、という話で終わってほしくないんだよね。彼は彼なりの
 ピアノを掴んでほしいな。だから私は雨宮君がどう自分の壁を打ち破るか、それに注目。
 
 ピアノとかクラシックに興味がない人が読んでもじゅ〜ぶん面白いです。イッキ読みです。
 笑えるし泣ける。おもしろい!

 2003.06.05




 「心洞 OpenSesami」 五條瑛 双葉社 
 
 (またしてもシリーズ読者向けの感想に・・)
  「革命」シリーズの3作目。これは10年全10巻で完結予定のシリーズです。
 (前回「紫嵐」のご紹介はこちら) 今回は女の子が主人公。珍しい・・。 
 読んで思うのは、何で私にはこの人のかく文章がこんなに好ましいのだろう、ということ。
 何故か説明できないが、どの文章も話も好きなんだよなあ・・。
 別に仰天する筋を持ってくる訳でもないし、めちゃくちゃ美文な訳でもない。
 全作完成度が高いかというとそうもいえない。
 一体なにが私をこうも惹きつけるのかというと、なんともいえないんだよね。
 だから無条件でお薦め、てことはできないんですよね。贔屓目が入っちゃってるん
 だろうなーと思うと。なかなか説明に困る作家さんです。

 さて、今回もメンバー勢ぞろいですが、亮司はなんで「リョウジ」になってんだ・・?
 すみれちゃんはすっかりストリートのボスのように・・なんかすごい貫禄になってきてるわ!
 脇のキャラも相変らず魅力的。キラとかハーシーとか。特にキラだねーお気に入りは!
 もっと出てきてくれると嬉しいな。
 今回主人公のエナちゃん、仲間に加わる経緯が悲しいなあ・・。こうなると明るい要素を
 もちながら(親との和解とか)話が終わってるのって最初の亮司の話だけか。
 うーん。私はエナちゃん好きなので、あんまりこれから先不幸な道を歩まないで
 もらいたいなあ。無理そうだけど・・。ヤスフミもかわいそうに・・まあでもあれはもう
 ああなるしか道がなかった感じ。大川先生も・・あー!そうだ大川先生だよ!いつのまに
 あんな風になってしまったの・・女郎蜘蛛って感じよ・・。なんかスゴかった。こわー。
 そしてこっちの脇キャラでは彫翔がお気にいり。この人はまだ出てくるみたいなので
 注目。んで肝心のサ様は最後の最後に登場だったねー。連載中はドゥルダはひょっとして
 女装したサーシャか!?とか思ったもんだが・・はずれた(笑) そりゃそうか。
 
 しかし・・・この調子で仲間スカウト合戦が続くのだろうか・・。そろそろ本筋にはいらないと
 10巻では終わらなくなるのでは・・。まあ、色んな登場人物が増える中で、水面下で
 物事は進行していそうだが・・。サ様がいう「大きな変革の嵐」がどんなもんか、本当に
 見てみたいのよ。だからなんとしても10巻まで頑張ってほしいな。途中で打ち切りとか
 勘弁してくれよー。お願いね・・。
 個人的には「鉱物」シリーズの世界とリンクしてくるのでは?と予測してるんだが・・。

 まだ未読の方、今なら間に合いますよー・・。3巻までしか出てないし。
 私と一緒に物語を追いかけてみないか!(スカウト) 

 2003.06.09
 


 「ピューと吹く!ジャガー」 5巻 うすた京介 集英社JC

 がー・・・出たぜ5巻が!!!今最も私が心待ちにしているマンガが・・!
 あまりの私の喜びように友人達もひいているさ。今回も表紙訳わかんないぜ!イエス!
 
 「なんかのさなぎ」最高!なんだよそれ!ぷふ〜!丸出しのソレが凍えそうだよって
 さあ・・。わけわかんねぇよ!あと笛汁体操・・。あーツボ。てかそれよりズギュンと
 きたのがさあ・・「ヌをつけるとこんなにパリっぽくなるなんて!」て!なんだよそれ!
 ひー腹いてぇ。あとさぁ・・(←誰に語りかけてんだ)ジャガーさん夜なべして手袋あんで
 たんだね・・。でも「やさしい・・お母さんみたいにやさしい!」ぶわっ てさあ・・。
 もーどーしろっちゅーのよ。腹いてえよ。そら親父の溶ける塩もなめてみたいっちゅーの。
 
 すいませんね・・・わけわからんこと口走って・・。
 ほっといてやって下さい・・可哀想な子なんです・・。アハハ。ハハ・・。
 
 いやでもほんと面白いんだぜぇ〜。
 これ読まないで一生を終えられないYO!(byハマー)
 たった410円(税込み)でこの面白さが買えるんですぜ奥さん・・読みなはれ・・。
 い・・今すぐ読みなはれ!
 
 2003.06.11



 「森のうた」 岩城宏之 講談社文庫

  最近の私のマイブームといえば・・・そう、お分かりですね?クラシックとともに、
 指揮者もマイブームなのです。誰もついてこない一人祭り・・。本当に一人で
 指揮者の本ばっかり読んでます。友人には「最近のあなたの一人祭りで、世の中に
 こんなにも指揮者の本があるのか、と改めて認識させられたよ・・」といわれる始末。
 いーんだ楽しいから。んでこの本。指揮者・岩城宏之氏の、山本直純さんとの
 芸大青春記、だそうです。私は実はこの2人のことは殆ど知りませんでした!
 どちらも有名な方なのにねぇ・・・そう考えると、やっぱり日本で「誰でも知ってる
 指揮者」は、現役では小澤征爾だけなのだなぁ・・と改めて思ってしまう。
 以前の私は指揮者には殆ど感心がなかったが、それでも小澤さんは知ってた。
 あとはかろうじて朝比奈さん。例えば井上道義・岩城宏之・外山雄三(敬称略)といった
 面子は聞いたことなかったもんな・・。まあ育った土地も影響するんだろうけど。
 関西圏や東京にいるとよくポスターとか目にするから、名前だけは知ってるかも知れんし。
 
 まあそれはおいといて、岩城さんです。経歴見るとすごい方なんですね。でも文章は
 軽めで、ユーモア溢れる楽しいものを書かれます。佐渡さんもそうだけど、指揮者には
 面白い方が多いのかしら?(笑) とにかく破天荒な岩城さん・ナオズミさんの2人の
 青春模様がものすごく面白い!もー抱腹絶倒!ってかんじ。著名な音楽家はこのくらい
 ぶっ飛んでるものなのかしら?
 すごく豊かな学生生活を送られたんだなぁって、ほんわかした気分になります。
 読んでて顔がにこにこしてきてしまった。2人の友情があつくって!
 ほんまになかよしさんなんやなーと。感動した。どのエピソードにも。
 特に岩城さんが失恋して号泣してる時に、ナオズミさんがピノキオの絵本とパジャマと
 枕とを、走って買ってきて「これ読んで寝ろ」と持たせて、タクシー呼んでバラの花束
 渡して見送ったくだりなんて泣けちゃったさ。てかどういう慰め方なんよそれ!(笑)
 もう読んでると殆ど山本直純奇人ショーみたいな感じだが、この人とっても魅力ある方
 だったんだなぁ・・。ものすごい才能をもちながら、クラシックの大衆化に力を注いだ人
 であったらしく。(寅さんのテーマ曲や、「一年生になったら」もこの人。「オーケストラが
 やってきた」等の番組も。「一万人の第九」も、この人が15年もやりとおしてきたん
 だなぁ・・)岩城さんはそれを残念がっていたようだったけど、それでも応援していたらしい。
 ナオズミさんは去年の今ごろ、帰らぬ人となってしまった。残念だ。もう遅すぎるのだが、
 一度コンサートに行ってみたかったと切実に思う。後の祭りだ。

 渡辺先生(渡辺暁雄氏)との師弟関係も胸を打つものがあった。
 なんてええ先生なんやー!でもこの方も既にお亡くなりになられているのね・・。

 2人の学生時代のクライマックス、ショスタコービッチの「森の歌」の演奏シーンで本書は
 終わるのだが、その「森の歌」の演奏展開を7P使って書いてある。これだけで1曲
 聴くことができたかのような臨場感!これはすごい。
 そして終演場面だけであとは何の説明もなく(卒業後の2人の行く末とか現在の説明とか
 一切なし)本書を終えているのが印象的だった。
 いい終わりかただった。演奏とともに読み終えたかんじがして。
 
 この人たちでなければ紹介できなかったであろう多数の興味深いエピソードが
 綴られていて(カラヤンのとことか)、どの章をとっても非常に面白かった。
 もう15年も前に出版された本なのに(※講談社文庫では2003年1月に発売)、
 全く色あせていない。すごくいいお話でした。面白かった。
 調べると岩城さんには本当に沢山の著作があり(エッセイスト賞も受賞されている)、
 これから読んでいくのが楽しみです。
 現在OEK(オーケストラアンサンブル金沢。この楽団は、最近私的注目の金聖響氏が
 指揮しに行ったので知ったんです)の音楽監督をされているらしく、また一つ聞きにいく
 楽しみが増えました!ここの楽団は相当面白い試みをしているみたいだし。
 あとなんといってもホールの音響が素晴らしいらしい。ああ楽しみ。
 現在71歳。まだまだ現役ですしね!
 いや、それにしても素晴らしい本を読みました。笑いあり感動あり。指揮者の本は
 どうしてこうどれもこれも面白いんだろう!
 
 追記:今これを書いている時点でもう次の著作「指揮のおけいこ」(文春文庫)に着手
 してます。お、おもしろい〜。次回また紹介します。
 
 2003.06.13



 「バルバラ異界」 萩尾望都 小学館フラワーズコミックス     

  待望の新刊。「残酷な神が支配する」完結から2年も経ったのかあ・・・。
 新作はSF。知らんかった・・(まとめて単行本で読みたい!とおもってたので、雑誌は
 ぐっと我慢してたのだ。)2052年が舞台。ある事件から7年間眠りつづけて目覚めない
 少女と「世界に捨てられた」と思いつづける少年を取り巻く様々な謎と事件。のまだ
 序章と言うところかしら。まだとっかかりなのに既に面白い。そして絵がやっぱり美しい〜!
 実はこの人の絵は昔のころの方が好きなんだけど、それでも華麗だわ。4章(「彼の名は
 絶望 彼女の名は希望」)のカラーが表紙のイラストなんだけど、うっとり・・。
 1章の扉絵も、これカラーで見たらすごい綺麗だろうなあ。
 ああ、やっぱり雑誌追いかけよう。
 
 1巻目で既にかなりややこしいことになってますが、この先が楽しみです。
 またわくわくする作品が一つ増えた・・v
 
 「少しもぼくを愛してなぞいない世界で生きるって 
  手も指も足も息も ただただ冷たくなるってことだ」
 112P
 
 2003.06.29


 


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