その夜、悠人は黄仲正の手によって、昨晩よりも更に酷い責め苦を受けさせられていた。 優作に電話をいれたことが黄仲正にバレたためである。 両腕は、壁に掛かっている間接照明から吊された麻縄で縛られ、吊し上げられている。 足も、大股開きをさせられたままベッドの端に縛り付けられ、どう身体をよじっても、足の間の恥ずかしい部分はすべて見られてしまう。 昨晩の鞭打ちの傷も回復していないのに、新たな鞭打ち痕が増えている。 悠人の下腹部から肛門の周囲は、すでに白濁した液体で汚れており、すでに犯されていることを雄弁に語っていた。 しかし、今日の悠人は少し様子が違う。 いつものように泣いていやがるようなことはしない。 ただ、歯を食いしばって責め苦に耐え、真っ直ぐに黄仲正を睨み付けている。 悠人の反抗的な態度に、最初は少し戸惑いを覚えた黄仲正だったが、これはこれで面白いと思っていた。 真新しい悠人の反応をしばらく堪能した後、黄仲正は鞭震う手を中断させ、悠人に問うた。 「おまえがそこまで、反抗的な態度をあからさまにするのも、珍しい。一体どういう風の吹き回しだ?」 「決め…た…んだ……。もう……、逃げな…って…」 息も絶え絶えで苦しそうではあるが、それでも悠人の目は決意も固く光っていた。 反抗的な悠人の姿を、黄仲正はにやけながらも侮蔑の表情で見下している。 悠人は何度か深呼吸して息を整えると、黄仲正をきっと睨み付けて一気に喋り始めた。 「縛るのも鞭打つのも、好きなだけやればいい……」 「ほう。言うではないか」 「だけど、オレは絶対、あんたのものにはならないからな!」 「私に向かって、そのような口をきくのは初めてだな。だが、これでも減らず口を叩けるかな?」 言うなり、黄仲正はいきり立ったペニスを出すと、無理矢理悠人の小さな口にねじ込んだ。 「うぶっ?」 いきなり大きくなったモノを口に入れられ、悠人は思わず顔をしかめる。 何とか逃れようと悠人は首を左右に振るが、頭はしっかりと抱えられて固定されてしまった。 そこへ、黄仲正が激しく腰を前後に動かすものだから、ただでさえいっぱいで苦しい悠人の口腔の更に奥深くを、黄仲正のペニスがガシガシと押すものだから、悠人は苦しくてたまらない。 「んっ、んんっ! んぶっ、んんん!」 激しい腰使いに、悠人は頭を押さえつけられているにも拘わらず、後頭部をガンガンと壁にぶつけている。だが、それを痛いと思っている余裕は悠人にはない。 悠人の口腔の中を支配するモノのせいで、今にも窒息しそうなのだ。 「んーっ! んんーっ!」 あまりの苦しさに、悠人は逃れたい一心で、すべての戒めをふりほどかんと暴れるが、黄仲正の動きはもっと激しくなっていった。 気が遠くなりそうになったとき、悠人がくわえていたモノがドクリと脈打つ。同時に、悠人の喉奥に生暖かい液体が激しくぶちまけられた。 「……ふう」 悠人の頭をきつく抱き締めていた黄仲正が、一仕事終えたような表情をして、悠人の口からペニスを抜いた。 口の中いっぱいににがしょっぱくて生臭い精液を放出された悠人は、窒息しそうな苦しさも相まって大きく咳き込む。 「これでもまだ、生意気な口がきけるか?」 「オレは本気だ……。オレは……オレは優作のことが好きだから……愛しているから……」 「それほどまでに愛しているというなら、なぜあの時工藤くんを止めた?」 「……」 黄仲正の問いかけに、悠人は顔を伏せて押し黙ってしまった。 悠人が一番気にしていたことだけに、今の黄仲正の言葉は辛かった。 優作がボロボロになっている姿を見たくないというのも、黄仲正にそそのかされたからというのもあるが、自分の意志がもっとはっきりとしていれば、こんなことにはならなかったはずだ。 そう思うと、悠人は悔しくて、唇をぎゅっと噛みしめる。 黄仲正は勝ち誇った顔をして、鞭の柄で悠人の顎をしゃくりあげ、顔をのぞき込む。 「どうした、悠人? また他人の所為にしてみるか?」 鞭の柄が、悠人の顎から首筋、そして胸へとつつっと這っていく。一旦胸で止まった柄は、敏感になっている悠人の乳首を細かな動きで弾く。 乱暴な刺激に、悠人は感じながらも顔をしかめた。 「どうなんだ?」 意地悪そうな昂揚した声で、黄仲正が尋ねる。 柄は乳首への責めを止めると、今度は脇腹を通って悠人が今一番敏感になっている部分にゆっくりと近づいた。 来るかもしれない不安から、悠人は思わず息を飲んだが、予想に外れて柄は一番敏感な部分を迂回して太股の内側を撫で回す。 拍子抜けはしたものの、それでも悠人の性感帯を逸れているわけではない。 微妙なところで、微妙な刺激を与え続けている。 微妙な刺激に身悶えしながら、悠人はその刺激に対して必死に耐えていた。 「さっきまでの威勢の良さはどうした? 鞭の握り部分に撫でられたくらいで、随分と大人しくなったものだな」 この晩になって何度もイかされたのに、耳元で黄仲正に囁かれると、悠人のモノは勝手に反応して立ち上がり、先走りまで溢れ出す始末だ。 舐め回すように悠人の身体を這っていた鞭の柄が離され、悠人は安堵のため息を漏らしたが、その瞬間、悠人の尻の蕾部分に鞭の握り部分がぐいっと押し込まれた。 「ああっ?」 メリメリっと裂けそうな痛みに、悠人は思わず悲鳴を上げる。 だが、黄仲正は構わず悠人の中に無理矢理柄をねじ込んだ。 「あっ! ぐっ……ああっ……っ」 最初に黄仲正の精が悠人の蕾の中を湿らせてあるとはいえ、拳大はある鞭の柄がねじ込まれるのは、正直辛い。 それでも悠人の穴は、何とか柄部分を飲み込んだ。 いっぱいになった後孔の圧迫感に、悠人は呼吸も忘れて身悶えする。 苦しそうに身体をくねらせる悠人の姿を見て、黄仲正は満足げな笑みを浮かべると、悠人の中で柄部分を軽く回転させた。 「あンっ!」 艶っぽい悲鳴をあげて、悠人は身体をのけぞらせる。 黄仲正はにやりと笑うと、柄を一気に後孔の入り口あたりまで引き抜く。 「あふっ!」 じれったい動きに、悠人は再び官能的な声をあげた。 物足りなさそうにひくつく蕾を見て、今度は激しく柄部分をスライドさせて出し入れする。 「あっ! あはっ! やっ! やめ……っ! あああっ!」 激しく感じて悶えまくる悠人の姿に、黄仲正はなお一層興奮してきて、もっと激しい動きをくわえた。 「いやあっ! たすけっ……! ……ゆ……っさく……、ゆう……さくぅ!」 悠人の悲鳴に黄仲正の責める手が、一瞬止まった。 この期に及んで、まだ悠人の心に工藤優作の姿が存在しているのが、信じられなかったからだ。 たったの一ヶ月足らずで、優作はすっかり悠人の心の支えになっていた。 悠人がどんなことをされてきたのかすべて承知の上で、無条件の愛で悠人を包み込んでいた優作だからこそ、悠人もまた全信頼をおいて優作を愛している。 劉太戴との戦いで劣勢になったとき、悠人が泣き叫んで中断したのも、悠人なりに優作のことを思っていたからだ。 私は何年かかっても、これほどのことはできないな。 黄仲正は、諦めとも歓びともつかない表情で感嘆のため息をつくと、悠人のラストスパートに向けて激しく鞭の柄を動かした。 激しい責めに耐えかね、悠人のペニスは射精の欲求を始めた。 黄仲正は悠人のペニスを空いている手で掴むと、上下に動かして射精を促す。 「ゆっ、ゆうさく……! ゆっ…さく……う、あ、あ、あああーーーっ!」 悠人はペニスの先端から精を吹き出すと、悲鳴のような声で優作の名前を叫び、そのまま意識を失った。 |