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『共犯新聞』NEW YORK地図映画
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IconClassic−Music
■ピアニスト/Piano
Sviatoslav Richter
スヴャトスラフ・リヒテル
Icon 無器っちょな俺は まるでリュリ
つんぼの俺は まるでベートーベン
真似乞食の俺は まるでセバスチャン・バッハ
強欲な俺は まるでアルビノーニ
でもね 君にゃ音楽は無理だね

■吉田秀和(評論家)
「朝日新聞」1997年8月21日
  • リヒテルは複雑な芸術家である。
  • バッハからプロコフィエフに至るまで、
  • 今すぐにも80種類の演奏会をやってみせる用意がある
  • 《テンペスト》の冒頭、きいたことのないようなおそさで下からゆっくり上がってくるアルペジョで始まる主題
  • 深い淵(ふち)からの神秘な呼びかけみたいでゾクゾクした。
  • 《プラハの春》での記録的CD
  • リヒテルの父親はポーランド系ドイツ人の音楽家
  • チェコは東側なので《プラハの春》には参加できた
  • 65年彼はオールドバラ音楽祭で親友のブリテンの指揮でモーツアルトの最後の協奏曲をひいた。
「朝日新聞」1997年9月22日
  • 93年パルマでモーツアルトの第25番協奏曲をひいた時など、
  • 第一楽章が終わりに近づき、さてこれからピアノのカデンツァが始まるというところで、
  • 何を思ったか、リヒテルは、一瞬の沈黙をおいて、
  • いきなりカデンツァの最後のトリラーをひき出し、それで終わってしまう。
  • 口惜しいけれど、この曲の演奏そのものは実にすばらしい
  • 「ピアノは手段にすぎない。大切なのは音楽だ」
  • 情緒纏綿(てんめん)たるものとかが、年と共にレパートリーから消えてゆき、
  • 特にバッハといった純度の高い音楽がしきりと取り上げられる
  • 《ハンマークラヴィア・ソナタ》
ブリューノ・モンサンジョン:著
中地義和 鈴木圭介:訳
『リヒテル』
筑摩書房:7,500円+税
  • 「オケはどうしょうもないパリ管」
  • 「グールドは自分のバッハを発見した。
  • 彼の主たる美点は音色面
  • グールドの演奏はその点、いささか輝かしすぎ、
  • 外面的すぎる。
  • いっさいの繰り返しを行なわない。
  • つまりはバッハの音楽をそれほど愛していない」



Icon久保元宏の”CD批評”

■『リスト/超絶技巧練習曲集』
1988年(ライブ) PHILIPS

◎晩年のリヒテルの境地が味わえられる。
1曲目の『ポロネーズ第2番』で見せる、
右手の”タメ”は、ジョン・ボーナム並みの重たさ!
リストというと甘美なバラードが有名だが、
リヒテルは、あえてリスト最晩年の実験的な曲も、
取り上げている。
たとえば『灰色の雲』(1881)なんかは、無調だ。
『メフィスト・ポルカ』(1883)の最後の音は、
テーマと無関係な単音だ。
このCDのメインである『超絶技巧練習曲集』の
8曲は、テクニックのおっぴろげで圧巻。
同時に『第8番<狩り>』などで見せる、
激しい情念は若々しくさえある。
そしてCDは名曲『ため息』を経過して終わる。

『ため息』は、フジ子・ヘミングの
カムバック第一作CD『奇蹟のカンパネラ』の1曲目でもある。
フジ子ちゃんには悪いが、リヒテルの貫録勝ちだ。

リヒテルの殺気は、スゴイ。