■写真家 石井 一弘 Kazuhiro Ishii |
美術★Art 共犯★写
真館
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1941年3月 東京生まれ。 1964年 日本大学芸術学部写真科卒、 同年 朝日新聞写真部入社。東京・大阪本社を経る。 1991年 朝日新聞 北海道支社へ転属。 2001年3月 定年退職。札幌の自宅を定住地とする。 2002年3月5日〜12日 石井一弘写真展『納沙布』 石狩市民 図書館(石狩市花川北7-1-26)にて。 2005年11月8日〜2006年2月28日 石井一弘写真展『納 沙布』 中山峠の「写真の森美術館」にて。 2009年9月2日 写真集『小さなロバ』、発表。東京、旭川、札 幌、石狩で写真展。 2012年4月7日(土)〜5月11日(金) 写真展、日本外国特派員協会《メインバー・ギャラリー》にて。 石井一弘『小さなロバ』 ★
三浦綾子の舞台との共犯 (更新日;2009年10月21日 水曜日 0:23Am)
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★石 井一弘写真展『納沙布』 2005年11月8日 〜2006年2月28日 中山峠の「写真の森美術館」にて 月曜日は休館。 | ||
< 写真展『納沙布』ご案内 > メー
ル(2005年11月13日 日曜日 10:11Am)
久保元宏様お元気のことと推察いたします。古い話になりましたが、 以前ご覧いただきました『納沙布」』がいままたよみがえり、 中山峠の「写真の森美術館」でこの8日から展示しています。 来年2月いっぱいまでは少なくともやっています。 札幌においでの折はちょっと足を延ばして ご覧いただけると幸いです。冬期なので月曜は休館です。 よろしくお願いします。 札幌・石井一 弘 |
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石井さん、 沼田町の久保元宏です。 2005年11月14日 月曜日 10:30Am
思い出せば、あの2001年11月の段階では私はまだ、ギャラリー通いの趣味もきっかけも身 に付けておらず、石井さんの個展のオープニング・パーティが生れて初めてのその種 のものでした。 その翌年から、ギャラリーどらーるを中心にオープニング・パーティに招待されるよ うになり、 最近では「インチキ美術評論家」まがいなこともしています(笑)。 石井さんの2001年の札幌の富士フォトサロンの会場で私が、会場の備え付けのノート に、 一気に感想を書いたのが私にとっての美術評論がスタートした瞬間でした。 冬は厳しいですが、2月まではまだ日があります。 あの作品たち、老婆の背中や、子供たちのほっぺ、岩と海のコントラスト、昆布の深 い黒などと再会したいですね。 |
写真★『石井一弘・写真展「納沙布」』 Text By .久保AB-ST元宏
2001年11月22日 |
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「もっと光を!」と、死の直前に言い残したのはドイツの文学者ゲーテだそうだ。 実際は、その部屋の窓が小さすぎて、「暗いぞ」程度の意味だったという池内紀らの説もある・が。 とにかく、後世の文学オタクたちは、ロマンチスト=ゲーテと、象徴としての「光」を積極的に結びつけたかったことは間違いない。 つまり、人間にとって「光」とは特別なものなのだ。 モノクロ写真家にとってであれば、なおさらだ。 しかし、その写真家としてのキャリアのスタート・ラインから「黒」を手に入れていた稀有な写真家がいる。 1941年3月東京生れの、石井一弘([email protected])だ。 彼は日本大学芸術学部写真家の学生時代に、 日本の東の端、北海道根室市の”納沙布(のさっぷ)”に初めて訪れる。 そこで見た、昆布漁を生活の糧にする人々と自然をカメラに収めた。 その後、1964年に卒業と同時に朝日新聞社写真部に入社した彼は、仕事柄、色々な素材をカメラに収めてきた。 しかし、40年間、納沙布は彼の一貫したテーマであった。 それは、今回の写真展が漁民の作業服の原色が海と空の青に反発する最近のカラー作品から、 初期の白黒写真にさかのぼる色の歴史でもある。 今回の写真展は2001年3月に朝日新聞社を定年退職した記念であり、北海道での永住を決意した記念でもあるそうだ。 そしてなにより、学生時代からのテーマ「納沙布」との出会いの40周年記念でもある。 と、同時に、 冷戦下に、ロシア(当時・ソ連)との漁業協定による貝殻島周辺の昆布漁の35周年でもある。 それらの複数の「記念」が交差する写真展であるから、色んな「読み方」が可能な写真展である。 たとえば、「北方領土返還」運動のシュプレコールとしても読めるかもしれない。 それは、生活記録であり、同時に報道写真でもあるという多面的なモチーフ由縁。 それは、写真という表現メディアが意味に対して常に独特の距離を持つ由縁。 しかし、その複数の「感想」「感じ方」を石井さんは同感として受けている。 それは、この写真展の初日に行われたホテルでのオープニング・パーティでの彼の対応から私は感じた。 それでは、その多面的な作品から私は何を感じたか。 冒頭に述べたように、彼は昆布との出会いにより、最初から「黒」を手中にした特権者だ。 そして、海岸の岩場に雪が残る厳しい環境で昆布採りをする漁民の写真。 そう。雪の「白」。 昆布は黒ければ黒いほど、良い昆布らしい。 質が悪くなると、茶色が混じってくるそうだ。 そして、モノクロ写真時代の昆布は現在の昆布より、良い昆布であったそうだ。 モノクロ写真では、主役の昆布はどこまでも黒い。 しかし、「白」が1種類しかないのに対して、「黒」は複数ある。 究極の薄い黒としての「白」に辿り着くまで、黒のグラデェーションは無数にある。 黒から白へ。その間の「灰色」。 良い昆布が「黒」であり、雪が「白」であれば、 その間に並べられた無数の「灰色」の一粒・一粒が、私達自身なのだ。 富 士フォトサロン |
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