記譜の問題:
何か注意事項ありますか?
- どのような用紙に書くか?
- ト音記号で書くかヘ音記号で書くか? 調は?
- 記譜の際の注意。
どのような用紙に書くか?
楽譜を書く必要に迫られるのは次のような場合です。
- レコード・テープ、CD/MDなどから耳に聴いたテーマやアドリブ譜を採譜する場合(一般にアドリブの「耳コピー」と呼称したりします。)
- テーマ、コードを(本番用に)記譜する場合
(スタンダードブックに載っている様な形式ですね) - アレンジ(編曲)を行う場合
楽譜はB5ルーズリーフとA4(変形)板の二種類が使用可能だと思います。
- 視認性が悪い。5線のサイズがちいさいので本番で演奏する場合に譜面が読めないということがまま起こります。
- 線と5線の間が狭すぎる:上にコードを書き入れるスペースは実質上ありません。Jazzというジャンルではコードを併記する機会が圧倒的に多い、その点ではこの楽譜は向いていません。
- また、トロンボーンの場合ソロは高音を使うことが多く、ヘ音記号で書く場合コピー譜は音符が5線よりも突き出ていることが殆どです。つまり、音符、コード共に「線と線の間のスペース」に書き込みするわけで、非常に読みづらいものになってしまいます。
いろいろな段数が発売されていますが、Jazzでは前述したようにコードを併記する必要性がありますので、6-8段のものがよいでしょう。但しコスト面では非常に分が悪いです。(5枚入りで400-500円くらいしただろうか。)
このA4変形版の譜面(売り譜とか)の欠点は、コピー機にかけて複写しづらいことです。どうしても少しはみ出してしまう。これはむしろコピーしにくいようにこの規格が未だに流通しているのだとか。音楽業界の既得権益保護なのでしょうか。というわけで僕はPDFファイルで白紙五線紙をプリントアウトして使っています。Googleで「五線紙」で探せばあります。
結論:
・外で吹く、お店で吹く場合(用途B)など、人に渡す譜面に関しては、出来れば変形A4版を使った方が楽チン。
しかし、この場合二つのファイルを持ち運びすることになって面倒。
スタンダードのコード譜をせっせとB5版で書き写す努力は報われないことが多い。
どのように書くか?−トロンボーンの場合
もし、B5版の5線紙に記入するならば、前述した様に、トロンボーンの譜面はヘ音記号で高音部が上にはみ出します。その結果
・書きにくいし、読みにくい。
・コードを併記する場合も音符とぶつかってますます読みにくい
という問題点があります。この解決にはどうすればよいでしょうか?
- 一段あけて書く。一ページ6段しか書けませんが、まずまず実践的なやり方です。こうするとソロ譜、コード両方とも見やすく書けますし、高い音も無理がありません。しかし、歌もの32小節でさえ1コーラスが一ページに収まらないのは少し不便でしょう。ちょっと間延びしすぎる印象です。
- 全部[...8vaとつけて一オクターブ下に記譜する。こうすれば音符が丁度いい位置に沈むでしょう。一般的なト音記号の譜面に近い形で読むことが出来ます。
しかし、僕はこれをしたことがありません。理由はヘ音記号の下の方の音を読む訓練をしていないからです。(笑) - いっそト音で書く。この場合見やすさ、書きやすさを考えると実音よりも一オクターブ高い記譜が妥当と思います。
- ハ音で書く。これは一部の人間にしか読めないのであまりすすめられません。
僕はトランペットのコピーはト音で(in C)、トロンボーンのコピーは上にいっぱい線が出た音符で仕方なく書いています。ま、これだとぱっと見たときにどっちの譜面だかすぐに区別がつきますし。
調について
幸い、トロンボーンはin Cの楽譜を読むようになっているので、この点では考えなくて済みます。サックス、トランペットなどではこれに関して非常に議論の余地があると思います。
ピアノに合わせてin Cにするか、自分の楽器なりの記譜を続けるか。
理論の習得なども変化してくる重要な問題だと思います。
一般的に、吹奏楽/オーケストラ等で楽器の基礎訓練を十全にしている経験者は、今までの遺産を引きずって楽器の原調で考えることが多いですね。初心者で始める場合、(しかもピアノの経験はあったりする場合)、あっさりとin Cをメインにした方がいいかもしれませんね。そうなるとビッグバンドの譜面が吹きづらくて、それはそれで困るのですが。
なおかつ困るのがコードネームの併記です。知人のトランペッターで、楽譜はin Bbで読み書きし、しかしコードネームはin Bbに移調せず、in Cのコードを記入している人がいました。これはおそらくスタンダードブックがin Cであるが故にこのような発達をしたんだと思うけれども、実際頭の中はかなり大変なことになっているような気もします。
しかし、出版譜によくある、コードネームを移調するスタイルも、あれはあれで疑問が残ります。ルート音である実音が変わってしまうのは、ちょっといいのかと思うところもある。実音は絶対的なもんですからね。例えば、in CでCはドで、in Bbではレです。しかし、Cm7は、in BbではDm7……にしていいものかどうかと思ったりもします。ローマ字表記ならいいと思うんですけれども。
記譜の際の注意事項
実際的な面については多くを語りません。
コピー譜の際の、すこしだけアドバイス。
楽譜の片隅にコピーした曲のCDのタイトル、そしてソリストの名前、それからコピーした大体の年月日は書きとめる習慣をつけましょう。
譜面が多くなってくると、あとで絶対役に立つから。
一段には原則として4小節、等間隔に小節割をした方がいい。4小節ずつの進行を絶対にずらさないこと。
ト音記号、ヘ音記号が、段が変わる毎に書くのが正式かもしれませんが、最初の一行目以外は無駄なのでやめましょう。楽譜が進むにつれて記号が変わったためしがあるでしょうか?
音符を書く際のちょっとしたコツですが、いわゆる出版社の譜面がありますね。あれは、かなり黒玉が大きめにかかれてあります。それこそ線間の音符は、ちょうど上下の線に接するが如くに大きく書かれていますが、実際自分で書く時は、ちょっと小さめに書いた方が視認性のいい譜面が書けます。あと、斜めっぽい黒丸にしようとするのも、間違いのもとです。全音符以外は、黒丸から縦に延びる線がありますね。あれは、●からちょっと離した方が読みやすいです。
以上です。どんどんコピーしてね。