Billy Strayhorn考


 ビリー・ストレイホーンはジャズの生き神様ことデューク・エリントンのバンドの片腕として活躍した人です。華やかなエリントンに対し、ストレイホーンは殆ど目立たず、裏方に徹した。

 わかりやすく言うと、ダウンタウン松本人志に対する高須光聖のような存在であります。
 ……うーん、ちょっと違うな。

 林家ぺーに対するパー子のような存在?

 しまったむしろちょっと遠ざかった。

 エリントン自体がたいがい作編曲の権化のような存在ではあるが、ストレイホーンはそれに負けないほどの作曲の才をエリントンバンドに捧げ、エリントンバンドの超強力二枚看板として君臨したのでした。

 死が二人をわかつまで。

"Lush Life"
—The Billy Strayhorn Songbook
Various Artists
asin:B00000471R

 このアルバムは、いろんなアーティストのBilly Strayhornの曲集。

 とはいえ、このCDのための録り下ろしではなさそうなので、多少安易さも否めないコンピレーションといえなくもない。尊敬すべきミュージシャンなのに、マーケット的にはちょっとぞんざいに扱われているわけだが、そういうのも含めていかにも彼らしいとも思われる。

 CDの最後の曲が"Take the A train"である。
 これは、構成としてはほっとする。

 (そう、この超有名曲が彼の作品であること一つをとっても彼の偉大さがしれよう。)

 というのは、その一つ前の曲は"Blood Count"。
 この曲は、Strayhornが不治の病に侵されて病床でポタリポタリと落ちる点滴(か輸血)のしずくを見ながら作った曲(たぶん遺作じゃないかと思う)だから。

 作った順序でいうとこれがラスト・チューンでもいいのだが、そんなんでCDが終わったら、ぼくちゃん悲しすぎましゅ。

 最後が”A train”であれば、大・団・円 って感じである。ちょうどフェリーニの映画"8 1/2"のラストにも似て、祝祭的でさえあります。

 Strayhornの曲は、とてもジャズっぽい。私、理論的なことそんなにわかりまへんけど、たとえば有名どころでは、サテンドールAメロ6小節目、A train Aメロ4小節目とか、いかにもっぽいと思う。ゆるぎない増4の音、ドミナントの音が常に背後に聴こえるような気がするんです。

 
(Jul,2006 初稿)