ジャガイモの出てくる 映 画 第2集

16. 『ソラニン』
 2010年邦画。監督:三木孝浩。原作:浅野いにお。
 浅野いにおの同名原作を映像化した青春恋愛映画で、夢と現実に翻弄されながら生きる若者たちの青春を等身大で描いたもの。今や国民的女優となった宮崎あおいが演ずる事務員芽衣子は、若手実力派の高良健吾が演ずるフリーターでバンドマンの種田と同棲しながら、互いに寄り添って東京の片隅で暮らしている。二人は不透明な未来に確信が持てないでいた。種田は音楽の夢をあきらめられず、夢と現実の狭間で葛藤するが、ついにバンド活動に専念することを決意する。ある日、芽衣子の一言で仲間たちと「ソラニン」という曲を書き上げ、芽衣子と一緒にその曲をレコード会社に持ち込む日が来る...。
 高良健吾の熱演もいいが、アジアン・カンフー・ジェネレーションが書き下ろした楽曲「ソラニン」を、芽衣子が魂を込めて歌うライヴシーンは最大の見どころ。
 どうして、陽に当たって緑化したジャガイモ塊茎(種)や芽に存在するポテトグリコアルカロイドのひとつとされる「ソラニン」が映画のタイトルになったのか。答えは、お気づきのように二人の姓名、”田”と”衣子”の組み合わせと歌詞にありました。
歌手:ASIAN KUNG-FU GENERATION、
 作詞:Inio Asano、作曲:Masafumi Gotoh
思い違いは空のかなた
さよならだけの人生か
ほんの少しの未来は見えたのに
さよならなんだ
<中略>
たとえばゆるい幸せがだらっと続いたとする
きっと悪い種が芽を出して
もうさよならんだ

さよなら それもいいさ
どこかで元気でやれよ
さよなら 僕もどーにかやるさ
さよなら そうするよ

ソラニン 1

17. 『しあわせのパン』
2012年邦画。監督・脚本は「刺青 匂ひ月のごとく」で劇場用映画デビューを飾った三島有紀子。オール北海道ロケで撮影された。2012年1月21日より、北海道にて先行公開されたので行ってみた。
この時期は例年になく寒波厳しかったが、映画は心まで温まるものでした。映画では、大笑いしたり、声援を送る人が出たりするものがいるのが当たり前なのだが、監督が女性のためか、終始ほとんどざわめきが無いものになっていたのも印象的でした。
「探偵はBARにいる」で知られ、札幌近郊の江別市出身の大泉洋と「東京オアシス」の原田知世が夫婦役で主演。水縞夫妻は東京から北海道にきて、洞爺湖のが見渡せる丘の上月浦の宿泊設備を備えたオーベルジュ式のパンカフェ“マーニ”を始めていた。尚(大泉)がパンを焼き、りえ(原田)がそれに合うコーヒーを淹れ、料理を作っている。
 この店にさまざまな想いを抱いて訪れる人々の人生を四季の移ろいとともに描いたハートウォーミングドラマ。“マーニ”には、春から冬まで毎日絵本をめくるように、色々なお客がやってきた。
北海道から出られない青年、時生(平岡祐太)、なんでも聞こえてしまう地獄耳の硝子作家、陽子(余貴美子)、口をきかない少女、未久(八木優希)やその父親(光石研)がきたり、革の大きなトランクを抱えた山高帽の阿部(あがた森魚)が宿泊している。そこに沖縄旅行をすっぽかされた傷心の香織(森カンナ)がきたりして四季が移っていく。野菜や米を仕入れる店広川さんの店頭はいろいろな野菜と一緒に丸いジャガイモ(この地域で栽培の多い品種『とうや』)が見えた【写真は「とうや」】。
 冬には、阪本老人(中村嘉葎雄)とその妻アヤ(渡辺美佐子)がやってきた。地震で経営する銭湯「日の出湯」が壊れ、ひとり娘の有月に先立たれ、思い出の地で月を見ながら心中を考えて来たのだった。それを思い止めさせて食べさせたポトフ(西洋おでん)に「メークイン」を見つけ、妻役渡辺は、『とうさん、ジャガイモ』と言う、夫役中村は応えて、『そう、ジャガイモや』と和む。クラレットらしいワインは度々見えたが、終わりに近いパーテーのシーンでは薪ストーブの灰からアルミフォイルで包んだ焼き芋(この芋とはもちろんジャガイモ)がチラッと見えた。
パンを分け合って食べる仲間をコンパニオンと言うのだと水縞。小生はゴッホの絵『ジャガイモを食う人々』を思い出す。蒸かしたジャガイモを囲んで素手で取って食べている風景だ。パンカフェ“マーニ”にはコンパニオンとしあわせのパンがいつもあった。最後にりえが『来年のお客さん、決まったよ』と言う、そして自分のお腹を指さして彼に教えた。そうです、一人じゃ出来ないが、二人なら出来るものが、そこにもあったのですね。
蛇足:映画の中で、『カンパーニュが焼き上がりました』とありますが、これには北海道産小麦(協賛:江別製粉)ジャガイモ「キタアカリ」、カボチャが使われていた模様。

18.『U-900』
 2008年ドイツ映画(DVD)。監督:スヴェン・ウンターヴァルト。
第二次大戦末期のナチスを舞台にし、ドイツからアメリカに亡命しようとする ちゃらんぽらん男が潜水艦を乗っ取ってしまうコメディ映画。
アメリカ大好きのアッツェと彼がかくまうユダヤ人の青年、そして結婚式場に ケーキを運んでいる途中に巻き込まれてしまった女優志望のヒロインの三人が ドタバタを起こす。アッツェがナチス将校の大将の奥さんとの不倫ががばれ てしまい家に潜んでいたところ、手にした者には、強大な力がもたらされると言われるキリストの聖杯をu-900に積み地中 海からドイツに運ぼうとしていることを知る。三人は聖盃をただの器だと思い、これで全自動ポテトフライヤー (ジャガイモ揚げ機械)を作ってアメリカでひともうけを計画する。
アッシェがクルーとは全く面識のない艦長になりすましてこれをUボートに載 せ、地中海からドイツに運ぶ計画を利用する。素人が艦長のふりをし、ヒロイ ンが男装するなどを面白く描くのはもちろん、口のうまさでクルーたちをアメ リカに進路をとることを強制したり、潜水艦が漁船に追いつかれたりのコメデ ィを展開します。そしておまけは、コメディとは思えないほど潜水艦のクォオ リティが高いことを知ったり、最後まで観ると、某ハンバーガーチェーンのルーツが分かること。
彼らは無事にアメリカの地を踏めるのでしょうか。

19.『ポテチ』
ポテチの出てくる映画は、『旅情』、『七年目の浮気』が有名、このずばり『ポテチ』を冠した映画にポテチを期待しないで終わる訳にはいかない。2012年5月16日札幌シネマフロンティアに向かった。
仙台に住む伊坂幸太郎の短編集「フィッシュストーリー」(新潮社刊)に収められた一編「ポテチ」をこれまで伊坂作品を数多く手掛けてきた中村義洋監督の手で、濱田岳主演でオール仙台ロケにより映画化したもの。同じく、過去の伊坂作品の音楽を担当してきたミュージシャンの斉藤和義が音楽を担当した。
後半に判ることだが、全く同じ日に同じ病院で生まれ、一方はプロ野球選手、もう一人は空き巣今村と全く違う人生を歩むことになった2人の男の運命を独特のタッチで描き出す。
 濱田岳が演ずる空き巣の今村が、仕事中にかかってきた電話に出たため、ビルから飛び降り自殺をしようとした女若菜(木村文乃)と仲良くなり、一緒にプロ野球の尾崎選手の留守宅に入る。
今村はニュートンの名も知らぬ科学オンチだが、探偵役の黒澤(大森南朋)の助けで同じ年、同じ日に仙台市で生まれたプロ野球選手尾崎との関係を明らかにしていく。
 ポテトチップスが出てくるのは、車の中。テンションが上がり『腹が立ったら、腹が減った』と今村がコンソメ味と塩味を買ってきて若菜とバリバリ食べるシーンです。今村が強い関心を持つ野球選手を美人局で騙そうとする男女と戦い、野球チームの監督の女ぐせの悪さを捕らえて尾崎選手を代打に出すことを約束させる。
 女優石田えりの外、中村監督も泥棒の“親分”役をこなし、竹内結子がその出演シーンで後ろにいる通行人のひとりとして現れ、仙台のご当地キャラの絵柄のトートバッグを持参しスッピンで出る。
2012年3月11日の東日本大震災を受けて伊坂さんと中村監督は「いままでの恩返しとして、現在の仙台の姿を通してみなに勇気を与えて、復興の後押しをしたい」との思いから本作をオール仙台ロケで映画化することを決意したという。
 蛇足ですが、映画鑑賞中の飲食にいろいろあり、小生は入る前にコーンスープを飲み中でガムのことがあります。ポテチやせんべいはガサガサ・バリバリと音がするので、少し音の少ない紙カップ入りポップ・コーンに比べ人気が無い。チョコレート、アメ、ガムも袋の音は出る。そこで袋菓子を音の出にくいものに入れたり、ポテチ販売を止めたりしているところが多い。午前中からのビールとか、揚げるフレンチフライ、ホットドッグも臭いの点でやや嫌われます。 映画を見ているときに余計な音をたてられたり、不必要な行動が視界にはいるとイライラしてしまいます。ケイタイを使いバックライトを見せるのも鑑賞の邪魔になりますね。

20.『追憶のアイルランド』 I Could Read the Sky
アイルランド=イギリス 1999 監督・脚本:Nicola Bruce(女性)。
原作は飢饉のおりにジャガイモを植えた先祖とは違ってアメリカに住む作家 Timothy O'Gradyとニューヨーク在住のイギリスカメラマンSteve Pykeの共著 の小説です。
 ロンドン、ケンティッシュ・タウンにあるフラットの一室。ベッドに横たわ るアイルランド移民の老人(Dermot Healy)の過去がフラッシュ・バックのよう に蘇る。
 老人はアイルランドの片田舎で兄弟姉妹の多い大家族に育った。長兄は農場を継いだが、その他の子供たちはニューヨークやイングランド各地、ロンドンなど、新天地を求めて移民していった。
 主人公も仕事を求めて、アコーディオンと着替えの詰まったトランクだけ持 ってアイルランドからイングランドに行くためリバプール行きのフェリーに乗 り込んだ。着いたリバプールはアイルランド移民の玄関口で、アイルランド系 住民も4割近くを占めていた。主人公はここからBrit Railで移動した。
 イングランドに渡ってからは周りに合わせていろいろな偽名を使い工事現場を渡り歩いた。そして人並みに結婚し、愛する妻マギーの死にも遭遇する、等々・・・と語りは続く。この過去を語る間、美しい伝統的アイリッシュ音楽が流れていた。挿入歌にはシニード・オコナーの曲などが使われていた。
 主人公は"苦手なもの"として、「ジャガイモのない食事」を真っ先に挙げていた。アイルランド片田舎の食事には必ずと言っていいほどじゃがいもが添えられていた。いもへの思い入れは強かったのでしょう。

21.『独裁者』または『チャップリンの独裁者』The Great Dictator
1940年アメリカ映画。チャールズ・チャップリンが監督・製作・脚本・主演を 務めた。
ドイツがホーランドに侵入した第2次大戦が勃発した時期に制作され、ヒトラ ーとナチズムに対して非常に大胆に非難と風刺をしつつ、ヨーロッパにおける ユダヤ人の苦況をコミカルながらも生々しく描いたもの。当時、アメリカはナ チの戦争とはいまだ無縁であり平和を享受していた。
 初公開当時ナチス・ドイツと友好関係にあった日本では公開されず、日本初 公開はサンフランシスコ講和条約締結から8年後の1960年であった。
 この作品は、チャップリンの「最初のトーキー作品」として有名であり、さ らにチャップリンの作品の中で最も商業的に成功した作品として映画史に記録 されている。
チャップリンは、架空の国トメニアの陸軍重砲部隊に所属する無名の二等兵 (床屋のチャーリー)として登場し、トレードマークの山高帽、ステッキ姿が 印象に残る。
独裁者ヒルケルに支配されているトメニア国。瓜二つのユダヤ人の床屋は、独 裁者と間違われ、占領国での演説で平和を訴える。ナチズムの狂気とユダヤ人 の迫害を批判した傑作。
 この中ででナチス突撃隊がユダヤ人の八百屋からジャガイモとトマトを強奪 するシーンがあります。 好きなジャガイモとケチャップに向きそうなトマト をゲットしていました。ドイツ人特に北部の人々はジャガイモ大好き、トマトはケチャップにして食べる人が多い、きっとゲットしたものはケチャップになったかも。

22.『ニーチェの馬』原題 A torinoi lo (英題The Turin Horse トリノの馬)
2011年。ハンガリー。 監督 タル・ベーラ
ロシアの東部に位置する国々はジャガイモをよく食べます。ハンガリー生ま れの監督も例外ではないでしょう。昔ジャガイモと羅針盤を船に積むようにな って壊血病などで航海中に亡くなる船員が減り大航海時代に入ることができ、その後の産業革命もジャガイモが労働者を支えたので成功したとも言えます。この映画でもジャガイモが重要な役割を果たしています。
タイトルは、19世紀末のドイツの偉大な哲学者フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェが、イタリア・トリノの広場で動かなくなって御者に鞭打たれる馬を見て駆け寄り、馬を守るようにその首を抱えながら泣き崩れ、そのまま精神が崩壊して二度と正気に戻らなかったという有名なエピソードに由来しており、「馬のその後はどうなったのか」という発想がこの映画の原点となったとも言われています。
 外界から隔絶したような農場にすむ片腕が不自由な男とその娘が荷馬車を唯一の収入源に何とか生計を立てていた。しかし、連日の強風によって仕事ができなくなり家に戻ってくる。
生きていくためには水と食料が絶対必要です。家から少し離れた場所には古井戸があり、そこに毎日水を汲みに行くのが娘の日課となっている。汲んできた水で湯を沸かし、木箱に貯蔵したごつごつしたジャガイモを1日1人1個ずつ茹で、皮を剥いて塩だけでゴッホの絵『馬鈴薯を食う人々』のように手づかみで食べる。副食はない。そんなぎりぎりの生活を続けていたのだが、何日たっても風が止む気配はない。そんなとき通りすがりの漂泊民の一団が井戸の水を求めてやってき、翌日頼りの井戸水が涸れてしまう。
父はそこを出ようとする。馬は餌を食べてなく、役に立たない。その後ランプの火種さえも失う。暗闇の中、テーブルを囲む父娘がぼんやりと映し出される。テーブルの上にはジャガイモが生のまま1個ずつ置かれている。火と水を失い茹でることもできなくなったそれを父は皮を剥き「食べねばならぬ」と口に運ぶ。そのかじる音は「創世記」においてアダムとイブが食べた禁断の果実とされるリンゴのようでもあった。
 このように、父娘の孤独な日々を描いたニヒリズムの世界のドラマであるが、もちろんニーチェは登場させない。しかし、本映画をタル・ベーラ監督は最後の監督作として公言したものだった。暇つぶしとは言えジャガイモ映画探しに勤しむ筆者にとっては連日でてくるシーンに驚き感激した映画であった。

23.『悲しみのミルク』原題 La teta asustada (英題 The Milk of Sorrow)
2009年。ペルー。監督:クラウディア・リョサ。彼女の叔父はノーベル文学賞 の作家。
1980年代のペルー内戦下では極左翼組織のテロがあった。「彼らは身ごもった わたしを犯したあと、夫を殺し、夫の一物をわたしの口のなかへ押し込んでき た。あまりの苦しさに、わたしは叫んだ。 夫といっしょに、わたしも殺して 欲しい」
このような意味の歌をケチュア語で歌うのは、この映画の主人公ファウスタ (マガリ・ソリエル)の年老いた母親。彼女は衰弱してベッドに横たわってお り、やがて死を迎える。
過酷な暴力に苦しむ母親の母乳を飲んだ子どもは、その苦しみと恐怖が伝染 する恐乳病になるという民間伝承が、南米アンデスの先住民のあいだで受け継 がれてきているという。ファウタも恐乳病のため一人で外出もできない。祖母 たちがレイプから身をまもるためしていたように、彼女も子宮にジャガイモを 埋め込んでいた。笑い、歓びとともにインディオが出てくる 詩的で、牧歌的 ・幻想的でもある映像とは裏腹に、ここで語られるのは、現代ペルー社会 が抱える矛盾と残酷な貧困。
亡き母の埋葬のため、ピアニストの家の奉公人になり、母からの歌と奉公先の 理解ある庭師が救いになっていた。
 映画のラストに局部に埋め込んだジャガイモを、主人公が取る決心をする。 側には優しい庭師が付いていてくれた。退院してから女は亡き母の遺体を故郷 の海の見える寒村パチャカマの砂丘に埋めることにした。
数日後、彼女のもとに鉢植えのジャガイモの花が届けられる。ジャガイモはテ ロの遺物であると同時に、闇の中から光を求めてこじり出る希望の花だった。

24.『落穂拾い』原題 Les Glaneurs et la  Glaneuse
2002。フランス。監督・脚本・語りアニエス・ヴァルダ(Agnes Varda)。アニエス・ヴァルダは「ヌーヴェルヴァーグの女神」の異名を持つ女性。 映画の冒頭部分、北フランスのジャガイモ畑で、大量に廃棄された規格外のジ ャガイモを拾う人々の姿を観て、ようやくミレーの『落穂拾い』に絵がかれた 行為が理解できる思います。この絵は、農民たちの貧しさと、生活のためやむを得ない行為を共同で行う農村社会の健気さを描いた作品であったと。欧米は飽食の時代と言っても良いのだが、今なお落穂を拾っている人々がいるのだ。
   収穫もれや規格外などの落ちこぼれを拾う人は、必ずしも貧しい人ばかりではないことや、フランスは収穫後の畑を開放しているらしいことも。自由に拾わせているのは翌年の野良芋退治にも効果あるでしょう。日本でもニンジン、タイコンの規格外比率は結構高く、もったいないと感じています。地域によってはジャガイモシストセンチュウの拡大から不特定多数が自由に畑に入るのは問題があるかも知れないが、「皆が思っている『ゴミ』は、ゴミではない」ことが知らされましょう。
 プレス向け資料によりますと、ある日ヴァルダ監督はパリーの市場で、道路に落ちているものを拾う人たちを見て映画の着想をつかみ、ハンディカメラを手にフランス各地の“現代の落穂拾い”を探す旅を始めたといいます。
 映画ではハート型のジャガイモが出て来ます。どこで出会うか、鑑賞のおりに探してみてはいかがでしょう。

25.『戦場のピアニスト』原題 The Pianist 
2002。フランス・ドイツ・ポーランド・イギリスの合作映画。監督:ロマン・ ポランスキー。 第二次大戦におけるワルシャワが舞台。
ナチス・ドイツのポーランド侵攻以後、ワルシャワの廃墟の中を生き抜いたユ ダヤ系ポーランド人のピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンの体験記を 元にしています。プライドのため生き残ることを選んだシュピルマンがピアノ を弾かなかったのではなく弾けなかった話。
 ドイツがポーランド進攻し、ユダヤ人をゲットーに押し込む。道路を封鎖したり、歩道橋をつくったりしてゲットーを完全に隔離します。ナチスに反乱を起こすため、ピストルをジャガイモなどに紛らわせて買い集めるシーンがあります。
 ピアノでは、映画の中でシュピルマンが弾き、象徴的に使われたショパンの夜 想曲第20番嬰ハ短調「遺作」があり、この映画でよく知られるようになったと か。ショパンの夜想曲等が演奏されたが- 廃墟の中のピアノでホーゼンフェル トが演奏していた曲にベートーヴェンのピアノソナタ第14番「月光」もありま した。

26.『愛を読むひと』 The Reader
2008年のアメリカ・ドイツ合作映画。英語作品。ベルンハルト・シュリンクの 小説『Der Vorleser 朗読者』を、スティーブン・ダルドリー監督が映画化。
舞台はドイツであるが、全編英語による製作である。そのため登場人物名も 英語読みとなっている(ミヒャエル→マイケル等)。
小説は松永美穂に翻訳され、新潮社から出されています。本の表紙にジャガイ モによく似たものが描かれているので読むことにしました。
 1985年、ドイツ。第二次世界大戦後のドイツ。15歳の高校生マイケルは、気分が悪かった自分を偶然助けてくれた21歳も年上の女性ハンナと知り合う。黄疸にかかったミヒャエルは、回復後に毎日のように彼女のアパートに通い、い つしか彼女と男女の関係になる。ハンナはミヒャエルが本を沢山読む子だと知 り、シャワーの前に本の朗読を頼むようになる。
 真面目に路面電車の車掌をしていたハンナが突然姿を消してしまった。8年後、法学生となったマイケルは裁判所でハンナと偶然再会する。ナチス親衛隊のもと、収容所の看守についていたことでが戦犯として裁かれ、無期懲役となる。マイケルは修習生となり、結婚し娘をもうけるが様々な想いを胸に離婚し、ハンナの最後の“朗読者”になることを決心し、彼女の服役する刑務所に朗読を吹き込んだテープを送り始める。服役している収容所を訪ねようとして、近くの村の食堂でフライドポテトとえんどう豆を添えたステーキを食べることがあった。
実はハンナは読み書きができない女だった。聞いたテープを元に彼女自身を変える行動に出る。模範的な服役をしていて、服役18年後マイケルとの再会が叶 う。出所できることが決まり、家を見つけ迎えにいくが、女性所長から意外な知らせを受ける...。

27.『じゃがいもシンフォニー』Gamja Simponi、英訳題『Potato Symphony』 
2009。韓国映画。 Gamja Simponi、英訳題『Potato Symphony』(じゃがいもシ ンフォニー)
監督:チョン・ヨンテク Jeon Yong-Taek
舞台は韓国北部金剛山や「冬のソナタ」のドラマで有名になった「春川」が ある江原道の田舎町で、農業以外にこれといった産業のないところ。そこで暮らす働き盛りの男たちは、満ち足りない生活をしている。
この街唯一の有名人といえば、ヤクザのチンハンで、 自分を退学させた学校 に多額の奨学金を寄贈して、今では地元の有名人。
そんな街に家業を継いで悶々としているチョルビョクたちの前に、かつて伝説の不良として恐れられたペク・イがソウルから帰って来る。これだけ一癖ある者が揃ったところでヤクザの抗争があり、ペク・イたちが内にもつ闘争本能が外にで...。
 これをこのコラムに選択したのは英語のタイトル『Potato Symphony』が目に入ったからですが、そのつけられた由来は判りません。2013年現在日本未公開です。韓国に詳しいvfx1さんの推定に従うと、江原道は岩の多い産地でジャガイモやとうもろこしが獲れ、そこの人々の気質を表現する言葉に「カムジャバウィ」(じゃがいも岩石)があり、その意味には平凡だとか愚直だとか良いもの悪いもの色々あるようです。登場人物がそのどれかにピッタリなのかも。(2013.3)

ジャガイモと映 画 第1集 (No.1〜15)の内容は
1. 大脱走 The Great Escape
2. 真紅の海賊 The Crimson Pirates
3. さらばバルデス >Chino(The Valdez Horses)
4. 旅 情 Summertime
5. わかれ道 One potato,two potato
6. スターウォーズ Star Wars
7.7年目の浮気 The Seven Year Itch
8.静かなる男 The Quiet Man
9.ビッグ、仁義なき戦い Big
10. 『地下水道』、『スターリングラード』
11. 『ホタル』、『マンホール』、『男はつらいよ』
12. 『怒りの葡萄』 The Grapes of Wrath
13. 『エイプリルの七面鳥』 Picese of April
14. 『パシフィック・ハイツ』(Pacific Height)
15. 『ALWAYS 続・三丁目の夕日』

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アメリカ映画『コブラ』

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