■甘い旅行(仮)No.1■
カランカランとベルの音が商店街いっぱいに鳴り響く。
「お客さんおめでとう!!1等賞の温泉旅行ペア宿泊券が当たったよ。紅葉がきれいだからね
彼女でも誘って是非行ってきな。」
ニコニコ顔でくじ引き係のおじさんは高耶に話し掛ける。高耶が今住んでるアパートから近い商店街。
先日からこのくじ引きが行われていたが引換券が何枚かたまったので参加してみたら見事1等賞が当たったらしい。
おじさんは「それじゃここに連絡先書いて。」とさっさと手続きを始める。高耶は言われたままに手続きを済ませて
温泉旅行ペア宿泊券を受け取った。
「ただいま。」
居るのか居ないのか、一応同居人千秋の所在確認の為に「ただいま」と言う。
これで返事がなければどこかへ行っているはずだ。玄関で靴を脱いでリビングに入ると千秋がソファーに寝転んで
テレビを見て笑っていた。そのそばに居た子猫は高耶の姿を見ると高耶に駆け寄り足にじゃれ付いた。
「お、おかえり。腹減ったんだけど。」
帰ってきて開口一発目が腹減ったというところが妙に千秋らしい。
「ちょっと待ってろよ。」
「なんか出来合いのモンないわけ?」
千秋が机の上に置いた買い物袋をガサゴソとあさり始めた。つられて子猫も机の上にジャンプする。
買い物袋の中に無造作に水色の封筒が入っている。千秋はその中身を出した。
「あ?温泉旅行?」
その封筒の中には『秋の味覚満載!温泉旅行ペア宿泊券』と書かれた券が2枚入っていた。
「あ、それさっき商店街で当てたんだよ。」
壁にかかっているグレーのエプロンを付けながら高耶が答えた。
「ふ〜ん。これってドコなわけ?」
千秋はクルリと宿泊券を裏返しにする。そこには有名な旅館の名前が書かれていた。
「なぁ景虎、これ誰と行くの?」
千秋がちょっと甘えたような声で尋ねる。
「まだ決めてないけど?」
高耶は鍋に水を入れながら答えた。(今日の味噌汁は何にしようかな?)
「んじゃ俺様が一緒に行ってやろうか?」
「てか、お前行きたいんだろ?」
高耶が半分諦めたような顔で鍋を持ったまま振り返る。
「ピンポーン!その通。」
千秋が人差し指を立てて高耶にウインクして見せた。
久しぶりの更新は小出しです。(笑)
このお話はまだ最後まで書ききれてないのですが秋物なので徐々にいくかと思ってUPしちゃいました。
冬になるまでに完結することを祈ってて下さい。(爆)
お話的には甘々?ちーたかです。題名に(仮)が着いてるのはタイトルがまだ未定だから。
「甘い旅行」なんてタイトルってよりコンセプトだし。話そのまんまじゃん・・・・・
実はこの話を書き始めたのはずーっと前。(多分1年以上前)私は書き方にバラツキがあって書きたい
シーンを書いてから前後を繋げたりすることが多いので(これもそう)もう大体はできてるんだけど接続の部分がダメ
って感じでいっぺんにUPできないのです。でもこう書きたいトコロを書きたい時に書かないとあとからってのは
ムリなのよね。昔書いたファイルが強制終了で消えた時頭真っ白になりそのお話は二度と日の目を見る
事はないのでした。(泣)
次のUPはいつになるやら。気長に待ってて下さいネ♪
2001.9.16 貴月ゆあ