第2章野獣旅立つ時

その時、一人の老紳士が部屋に入ってきた。
「君が坂本くんかね?」
「そうだが、あんたはだれだ?]
老紳士はポケットから葉巻をとりだした。
「わたしはこのデパートのオーナーだ。」
このデパート=マツガネヤ百貨店は日本でも指折りの大企業である。
「で、その企業のオーナーが俺に何のようだ?」
竜彦は平然とそう尋ねた。
「うちのデパートは物だけでなく人もうってるんですよ。」
「どういうことだ?」
「主に暴力団相手に注文通りの人間を調達するんですよ。」
「で、今回は俺が商品ということか?」
「はい。」
オーナーは怪しげに笑うとはなしをつづけた。
「依頼主は関西の暴力団、紅蛇会。なんでもそこの組長が腕利きの用心棒を欲しがっているそうでね。」
「おもしれえじゃねえか!!」
「ひきうけてくれますか?」
「もちろんだ!!」
「では早速依頼人のところへお送りしましょう。」
オーナーはそういうやいなや竜彦をそばにあったダンボール箱のなかに むりやりいれた。
「失敬な!!なにをする。」
「あなたはあくまでもうちの商品ですから宅急便で送り届けます。」
「なるほど、それもそうだな。」
そして竜彦のはいった箱をのせたトラックはなにごともなかったように 六本木のなかにきえていった。
荒ぶる獣の魂をのせて・・・・・・
tobecontinued(第3章)

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