さぐりあい


ティムカ&ヴィクトール

「お待ちなさい!アンジェリーク、どうしたのですか?一体何があったというのです?」 水の守護聖は涙を流しながら湖を立ち去ろうとするアンジェの細い腕を、やっと捕まえた。 アンジェは、リュミエールに顔をそむけ彼に腕をとられたままの格好で佇む。 「アンジェリーク、私の方を向いて?」 リュミエールが顔を近づけようとした瞬間、彼のアンジェの腕を掴む力がゆるんだ。 その隙にアンジェは、彼の腕を振り払い駆け出した。 「ああ、アンジェリークっ!?」 リュミエールの呼ぶ声も虚しく、アンジェは学芸館へと立ち去っていった。 「どうしたのさ?リュミエール。そんなに悲しい顔しちゃって!」 傍を通りかかったオリヴィエが心配そうに声かける。 リュミエールは、無理矢理笑顔をつくると、 「いえ、何も。ただ、、、まさか、また、ティムカが、、、。」 そう言って口ごもると、アンジェの去って行く後姿を見つめた。 息をきらしながらアンジェは、学芸館の前にたどり着いた。 「きゅっ。」と唇を軽くかみしめ、ヴィクトールの教官室へと一歩一歩踏みしめるように 歩き出した。冷たい大理石の廊下にアンジェの小さな足音が響く。 「確かめなきゃ。ヴィクトール様に、、、確かめなきゃ。」 アンジェはそう思いながら、その先に何が彼女を待ち構えているのか 分らないけれどヴィクトールの部屋へ近づいて行った。 普段いつも学習の為に訪れる教官室のドアがこんなにも大きくて、威圧するような高さ だっただろうか?緊張で震えてしまうアンジェの手がドアノブに延びた時!! 「やあ、女王候補さん!まだ何かヴィクトール様にご用があるのですか?」 きちんとした言葉遣いのはしばしに、自分への敵意が感じられゆっくりと彼女が 振り返ると、、、そこには、優しく微笑む、、、ティムカが立っていた。 「い、いつの間に、、、。」 アンジェは驚いて目を見開く。ティムカはその様子がおかしくてたまらないように 口の端で笑うと、 「あなたの後ろをゆっくりとついてきました。気がつきませんでしたか?」 と言った。 アンジェはふるふると首を左右にふるのが精一杯だ。 「ああ、あなたもヴィクトール様に呼ばれたのですか?」 ティムカはにっこりと笑って、アンジェに続けて言った。 それは、「僕はヴィクトールに呼ばれたけど、君は?」という言葉と 同じだった。 アンジェの瞳に涙がゆっくりとたまってゆく、、、。 やはりティムカの言う通りふたりは愛し合っているのだろうか? 信じたくない!自分の愛する人が同性のこんな年端もいかない少年と、、、。 だが、ここで悔し涙を流したらティムカの思うつぼだ。 もしかしたら、自分とヴィクトールを逢わせまいとする子供じみた嘘かもしれない。 しばらく冷たい時が流れて、、、。 「ふふ。嘘だと思うなら、そこに隠れて見ててご覧よ。女王候補さん?」 ティムカの細い顎がドアのすぐ横の壁を指した。挑戦的な少年の黒い瞳、、、。 「ええ、ここで見てるわ。」 アンジェは震える声をなんとか低くだして、はっきりと言った。 ティムカはまたアンジェににっこりと笑いかけると、「トントン」とドアを ノックした。 「ヴィクトール様、、、あの、、、僕です!ティムカです。」 と、か細い震えた声を演技しながらドア向こうに居るであろうヴィクトールに 声かける。 するとティムカが言い終わるか終わらないうちに勢いよくドアが開いた! 「ティムカっ!?」 ヴィクトールの大きな腕が少年の小さな体を抱きしめる。 その力強さに少年の体は後ろへ仰け反りひっくり返りそうになったが、同じ ぐらいの力でヴィクトールの体をティムカは強く抱き返した。 突然の抱擁。そこには、ヴィクトールの少年に対する愛情が溢れていた。 ヴィクトールの逞しい腕にだきしめられたティムカは嬉しくて、思わず涙を こぼす。 やっと自分に向いてくれた愛しい人、、、ティムカはヴィクトールのいかつい顔 を小さな褐色の手のひらで包みその琥珀色の瞳を見つめた。 「僕を待っていたの?」 ティムカの黒い大きな瞳がまっぐに彼をとらえる。ヴィクトールの瞳が優しく潤み、 首が縦に振られる。 「ああ、、、。」小さく熱いため息と共に喜びの声をあげ、 思わずティムカは彼の太い首に抱きつき、その小さな唇をそっとヴィクトールに 近づけると、、、ヴィクトールの両肩が一瞬、とびあがったように見えそれからは、、、 夢中になって少年の唇をむさぼるように激しくキスをする。 「、、、ああ。」 顔に触れているティムカの指先が熱く感じられ、その場に立っているのも やっとなヴィクトールにティムカは、彼の耳元に息がかかるほどに唇を近づけ 「僕が欲しい?」と、甘くしかしはっきりと囁いた。 ティムカの今まで一番素直な気持ち、愛している人 に自分だけが必要だといって欲しい瞬間、、、。 ヴィクトールは一瞬体を引こうとしたが、ティムカは両手で掴んだ彼の顔を 離そうとしない。 ヴィクトールはその言葉に答えず、ティムカにくちづけした。 充分な「答え」。 やがてゆっくりとティムカを抱き上げると、部屋の中へと消えていった、、、。 ヴィクトールに抱き上げられた瞬間、ヴィクトールの肩越しに、 アンジェの方を見てティムカは口の端で笑いかけた。まさに勝利の微笑だった。 ふたりが部屋の中へ消えると、へなへなとアンジェはその場に座りこみ いつまでもドアを見つめていた。 ヴィクトールはそっと羽根のように軽いティムカの体を、自分の固いベットの上へ 運ぶ。 「くすっ。今までこんなに優しく扱われたことないから、なんだか怖いな。」 ティムカははにかんだように笑って見せる。 「じゃあ、こういうのがお好みかな?」 ヴィクトールはティムカの襟元を両手で掴むと一気に彼の服をふたつに引き裂いた。 褐色の少年のしなやかな肢体が露わになる。 「あーあ、やめてくださいよ。そんな優しい顔をしてやられても、僕全然感じないな。 、、、でも、そんな優しい顔をして見せるあなたの方が、、、好きです。」 「アンジェリークのことは?」少し不安気に眉を寄せてみせるヴィクトールに、 ティムカは 「くすっ。あなたの代わりに僕が彼女にあなたをあきらめるよう仕向けただけのこと。 、、、あなたは優しいから、彼女を傷つけないように断るに決まってるんだ! そうしてあの女王候補は、うぬぼれてしまう。愛されていると勘違いされては、 僕だって迷惑だからね。」と、答える。 「、、、俺達のことを言ったのか?」ヴィクトールの顔が一瞬凍りつく。 「俺達って、僕とあなたのこと?」ティムカはじゃれるようにヴィクトールの眼の上の 傷を「チロリ」と舐めた。 「嬉しい響きだな。、、、なに?何か不都合でも?」 ヴィクトールのしかめっ面をティムカは覗きこみ、ため息をつくと 「あっそ。じゃあ、僕はアンジェの所へ行くよ。それでオーケーなんだろう?」 ティムカは破かれた服を身体の中心に引き寄せてベットから降りようとすると 後ろからヴィクトールがティムカを抱き上げた。 ヴィクトールの大きな身体がティムカをすっぽりと包み込み、ゆっくりとヴィクトールの うごめくピンクの舌がティムカの細い首筋へ、肩へ、胸へ、足の付け根へとおりてゆく。 ヴィクトールの武骨な手が、少年のまだ成熟しきっていないすでに固くなっているものに 触れると少年は小さく喘いだ。 少年の耳たぶを唇で愛撫しつつ、ヴィクトールは彼の欲望をいちばん満たしてくれる ティムカの蕾に透明な蜜で濡らした指をあてがった。 「はうっ!?」ティムカは上気した赤い頬をさらにほてらせ、ヴィクトールの汗ばんだ 傷だらけの大きな背中にしがみつく。 「ああ、、、もう、お願い、、、ヴィクトールさ、、、ああっ。」ティムカの切ない声が 部屋の中に響き渡る。眉間にしわを寄せて哀願するティムカに口付けすると、 ティムカの身体を「ひょい」とヴィクトールは自分の股の上に乗せ、興奮しきって いる自分のものにティムカの顔を押し付けた。 ティムカはその大きさに少し戸惑いながらも、小さな唇でくわえる。 「んん、、、。」ヴィクトールの声が、少年の動きに合わせて高く低くなる。 「ああ、いい、、、ティムカ、、、やはりお前じゃないと、、、俺は、くうっ!」 ヴィクトールのいちばん感じる部分を舌でなぞると「ああっ!!」と 彼は歓喜の声をあげた。ティムカはそれを聞くと、嬉しくなって夢中になって しゃぶり続ける。 「まだだよ。」ティムカはヴィクトールの上へ乗り、ゆっくりと彼のものを受け入れて いく。 「あああんんっ!!」甘い呻き声をだし、ティムカはヴィクトールを迎え入れた。 全身に電撃が走り、ふたりはただ快楽を求めてどんどん落ちていく、、、 その行き先にあるのはもしかしたら地獄の底なのかも、、、知れない。 ふたりの息使いが荒くなり、絶頂を迎えようとした時だった。 きな臭い匂いが、部屋にみるみるうちに充満してきた!? 「なっ、なんだっ!?」 驚いて、ヴィクトールはシーツをティムカに被せて、ベットの下へ押しこむ。 「ごほっごほっごほっ!」 ヴィクトールは、部屋のドアを開けようした時、、、 赤い燃えさかる炎が彼に向かってきた! 「ヴィクトールさまーーーっ?!」 ティムカの悲痛な叫びが、学芸館に響き渡った、、、。 be continue


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