IFOR宛のビデオ
ビーチ少尉「サラエボから映像がとどきました」
デューサンは淡々と語り始めた。
「私はセルビアのクロアチア人でムスリムだ。きみたちは、わたしたちのしたことを見て言うだろう。こいつはケダモノの一人だ。何世紀にもわたって、残虐にお互いを殺しあってきた民族の一人なのだから当然だ、と。だが、私はモンスターではない、人間だ。きみたちがどう思おうと、わたしはきみたちと同じ人間なのだ。」
「我々は共存の努力をしたのに、戦争が引き起こされた。戦争を引き起こしたのは、我々の指導者かもしれない。しかし、セルビア人にクラスター爆弾を、クロアチア人に戦車を、ムスリムに砲弾を与え、我々の子供を殺したのはだれだ?」
「それは西欧の政府ではなかったか?また、彼らは我々の大地に境界線を引いた。インクと我々の血をもって。彼らは平和の使者(ピースメーカー)を名乗り、我々の運命を勝手に決めようとしている。そんな平和はほしくない。我々に苦痛をもたらすだけの平和の味をピースメーカーにお返しする」
「きみたちの妻と子供。きみたちの家と教会に同じ苦しみを教えよう。きみたちは」わたしたちの苦痛をしり、理解するようになるだろう。そして、自分たちの未来を自分たちできめられたということがどんなにしあわせなことかを実感するだろう」
「すべての者に神のご慈悲を」ビデオはそこまでだった。
デヴォーはビーチに命令した。「サラエボを封鎖するんだ!」
「目的地はサラエボじゃないわ」腕組みしながらケリーが言った。
「”ピースメーカーに同じ苦痛を与える”って彼は言ってたのよ。ピースメーカーはボスニアにはいないわ。ボスニアの分割の線引きをしたのも、欧米の国々だわ」
based on the screenplay by Michael Schiffer
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