理想を追って自滅するのと、刹那の快楽に溺れて自滅するのと、どちらがマシだろうか。どっちにしろダーレン・アロノフスキー節に乗っかって堕ちられるんだから、まぁいいか。

前作「π」で、神の数に挑む男の妄執を驚異のモノクロ映像で世に送り出した、米インディーズの天才アロノフスキー。理想追求者の悲喜こもごもを見事に描いた「π」に続き、彼が選んだ題材はもっともっと痛かった。そう、アロノフスキーの長編第２作となる本作は、同じ自滅でも更にしょーもない自滅の物語なのでした。

いかんいかんと思いながらもツイ手が出ちゃう、酒・タバコ・セックス・その他諸々の素敵なお愉しみ。その最たる代表選手・ドラッグちゃんを核に、それぞれの事情からトリップワールドへ足を踏み入れてしまう人々の堕ちぶりが、素ん晴らしい映像でイタ〜く綴られております。その話法たるや、ヒップホップ・モンタージュと命名された音とカットの洪水で、予告編だけでも開いた口が塞がらなくなるほど。これはスゴイ。

監督のテクに加え、出演陣も話題の旬モノが勢揃い。恋人キャメロン・ディアス嬢が居りながら撮影期間中は驚異の禁欲生活を送った根性男、ジャレッド・レトを筆頭に、「エクソシスト」のエレン・バースティン、胡散臭い色気がすっかり体に染みついたジェニファー・コネリー、そしてそして「最終絶叫計画」で常時キメまくりのアホ兄ちゃんを演っていた、マーロン・ウェイアンズの演技も見モノ。

さぁ、この夏「レクイエム・フォー・ドリーム」で堕ちてみましょう。ヘタなホラーなんか観るよりか、よっぽど怖いぞ！！！