『終章:明日』 -6完


         ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 一条さんは、本当に…俺を食った。
 俺の上になり、俺を押さえつけておいて、どこもかしこも齧り尽くし、吸い尽くした。
 いつかも、一条さんに一方的に可愛がられたことはある。あれは手を使えなくなる程の恐怖に掴まってしまった俺を救おうと、一条さんがしてくれたことで…俺は、半端な愛撫で死ぬ程焦らされた。
 …これは、そんな計算づくのことではなくて…一条さんはたぶん、今初めて、欲情だけに身を任せて走っていた。全身を使い、俺を奪い尽くしていった。
 邪魔するものはもうない…死の影も、別れの悲しみもない。
 俺への労りも気遣いも今は捨てて、吹き上がる激情のままに、一条さんは動いていた。
 長い間、飢えきっていたこの獣は、俺をむさぼり食った。
 妖艶で淫らなこの魔物は、俺の身体をしゃぶり尽くした。

(…熱い…青い火に焼かれるようだ…)

(あなたは、冷たくなんかない…こんなに熱い…)

 俺を組み敷いた美しい魔王のようなあなたが、優しく微笑んで俺を見つめ、それから牙を剥き、俺の肩に思いきり歯を立てる…。
 俺は絶叫した…。

 じきに俺は、抵抗しようとすることもできなくなった。見ることもできなくなった。ただ息を吐き出し、必死に息を吸い、また息が尽きるまで悲鳴を上げた。
 身体中を撫で回され、掴まれ、爪を立てられ、舐められ、噛まれ、吸われていた。
 どこにでも一条さんの指と爪はあり、どこにでも一条さんの唇と舌と歯があった。
 半端…どころじゃない…たぶん、俺の身体中に一条さんは爪痕と噛んだ痕、吸った痕をつけている。
 優しく触れられる快感が、次の瞬間に引き裂かれる痛みに変わる。舐め上げられるもどかしさに悶えると、すぐにきつく噛まれて、俺は仰け反る。痛みが快感を追い、追い越し、やがてまた、快感の河に流れ込む。
 もう…のたうちまわって、叫ぶことしかできなくなっていた。

「ゆるして!…いちじょうさん!…ゆるして…」

 何度も頼んだのに…許してくれない。

「…もう少し…我慢して…」

 喉にからまるような囁きが、俺に応えた。
 横向きにされた俺の背中に、一条さんはいるらしい。腕を頭の後ろで掴まれ、戒められている。剥き出しになった脇腹から背にかけて、さっきからさんざん噛まれていた。もうひとつの手は、後ろから股間に差し込まれ、何もかもをいたぶっていた。脚を入れて膝を上げられている…閉じることもできなかった。
 突然、俺の後ろの門に、指が触れてきた。少し押し込まれる慣れない刺激に、俺はもがいた。

「い、ちじょうさん…!」

 止めようと呼ぶと、また脇腹に歯が立った。

「あああっ!!」

 両方の刺激で俺は喘ぐ。

「ふふ…そのうち…ここも慣らして、あげる…」

 …と、一条さんが笑うのが聴こえたような気がした。
 俺…このまま、一条さんに犯されてしまうのかもしれない…。
 でも、それでもいいような気がした…。
 するのでも、されるのでも…いい…一条さんとなら…いい…。

 でも、指は侵入しようとはせずに離れて尻をきつく掴み、また俺を叫ばせておいてから、腰骨を辿り、前を握った。
 手は優しく俺を撫で回した。
 急に優しくされるのも苦しくて、俺はまた悶える。

「雄介…濡れてる…食べてあげる…」

 頭の後ろで戒められていた手が自由になった。そのまま俺は仰向けに寝かせられ、一条さんは身体を起こしてかがみこみ、俺を舐め、さんざん舐めてまた俺を叫ばせ、それから、俺を口に含んだ。両手はまだ俺を押さえ込みながら、撫で回していた。胸の突起に爪を立てられた。一条さんは、口で優しくしゃぶりながら、両手の爪を俺の身体に食い込ませる。

「ああ!…あ…ああ…ああぁ…」

 もう、声が止まらない。
 温かい口の中で、こね回される。指は急に優しくなって、ゆっくりと全身を撫でる。刺激の強い痛みの後だと、もの足りなく感じる。
 それから、抱きしめられ、一気に深く喉の奥まで吸い込まれる。喘いだところで浅く引き出され、またしゃぶられる。軽く噛まれながら、吸われて、悶えると、また深く呑まれる。
 一条さんは、口で愛撫することに、夢中になっていく。大切な大好きな自分のものを、口中でしたい放題に可愛がっている…そんな感じ。…濡れて、絡まる…暖かい…そこは、一条さんの体内に似ている…。
 一条さんの、あの綺麗な口で喰わえられている…と思うと、狂ったような気分になる…嬉しいけれど、もったいなさすぎる…いい…でもやめて…やめないで…。閉じた目蓋の裏が赤い…。

 必死に手を伸ばすと、一条さんの腰のあたりに触れた。俺は腰から尻まで撫でた。
 俺は、少しも触れさせてもらっていなかった…触れたかった…。
 追い上げられていく快感に抗って、呼ぶ…。

「いちじょう、さん…俺にも…ちょうだい…」

 一条さんは躊躇わなかった…少し口が浅くなり、身体を回してくれる。俺の頭に跨がってくる。
 俺は腰を抱き寄せ、喉を反らして一条さんを口にする。やっとやっと貰えて、ひどく嬉しかった。猛りきって濡れている先端を丁寧に舐めてから、くわえ込んだ。

「…くっ…」

 俺を含んでいる一条さんが、怯む気配がする。
 俺は一条さんを吸いながら、さらに手を伸ばし、腰から尻の線をなぞり、腿も撫で回して、最後に蕾に辿りついた。押すと締まる。けれど、指を拒む固さはない…一条さんは俺を食べながら、ここも濡らしていた。
 一条さんが、たまらずに口を離す…。

「ゆう、すけ…それじゃあ…できない…」

 俺は一条さんを深く吸っていて、応えられなかった。
 枕元に転がったままになっている潤滑剤を探り当て、手探りで指に取った。
 俺も飢えきっていて…もう、遠慮も容赦もする気がなかった。
 周りに充分塗りこめておいて、指を挿していった。

「…ああっ…」

 俺をまた浅く口にしたところで、一条さんが叫ぶ。微妙な刺激がたまらずに、俺は一瞬悶えた。
 悶えながら、指を深く挿す。ぐっと締まり、それから、からまるように俺の指を掴む。

「…やめ、ろ…噛んでしま、う…」

 今度は、一条さんが悶えていた…。喘ぎが伝わってきて、とても…いい。
 応える為に、少し口を浅くした。

「噛まないで、ください、ね…ちゃんと…食べて…」

 言いながら、指はポイントを探す。この態勢では難しいけれど…たぶん…このへん…?
 一条さんの身体が震えたので、探り当てたことがわかった。一層尻を引き寄せる。
 一条さんが喘ぎながら俺をくわえている。俺に覆い被さっている身体が柔らかくなっていくのがわかる。
 溶けて、溶けて…もっととろけて…。俺は追い上げた。
 一条さんは、うめいてまた俺を深く呑む。不自由な態勢に苦しみながら、一条さんは崩れかけて、腰が揺れたがる。それでも、口に含んだ俺に固執していた。
 強く抱き寄せて、指を抜き差ししながら、少しずつ広げた。口の中の可愛いものも、同時にこね回す。俺も吸い上げられ、こね回される。
 とろけそうだ…たまらなく、よかった。いつか俺もうめいていた。
 蕾はどんどんほぐれている。上と下の両方で俺を深く呑んで、前は俺に呑まれて、三箇所で俺に結びつけられて、一条さんは声も出せないまま、身動きできないまま、一気に堕ちていく…俺には、わかる。
 溶けていく…開いていく…もうきっと、意識なんかない…獣に成り果てて、走っている…。
 思いきって、空いている手も参加した。両側から指を一本ずつ…埋めていく…そのまま、一層広げる動きになる。
 一条さんが喉の奥で叫ぶ…けれど、俺をくわえたまま、離そうとはしなかった。深く深く呑まれ、包まれて、揺すぶられて、俺も急に耐えきれなくなった。
 口の中の一条さんが震えて、一層硬くなった。喉を開き、俺も深く呑み、同時に強く両方の指を埋め込んだ。
 互いの喉の奥深くで、俺たちは同時に達した…。

         ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 一条さんの腿が震えて、俺の上に崩れ落ちるのを堪えようとしている。
 俺は、一条さんの精を飲み尽くし、さらにしゃぶりあげながら、ゆっくり指を抜く。小さな叫び声が聞こえた。一条さんが俺の上から退いて、そのまま、横に倒れていく。
 俺は起き上がって、一条さんと同じ向きで横になった。俺の精が、目を閉じた一条さんの唇から溢れて頬を伝っていく。俺はそれを舐めた。

「あ…なんか、俺のほうが苦い…」

 頭を抱き取ると、一条さんが目を閉じたまま、苦笑した。

「そうか…?」

「一条さんのは、もっと甘いですよ〜…」

 指で残りを拭うと、一条さんが薄目をあけ、唇を寄せてきて、俺の指に舌を這わせ、舐め取る。
 自然な動作が、猫みたいだった…。
 さっき俺をいたぶり抜いたのと同じ人だとは思えないくらい、一条さんは穏やかで、けだるく、静かだった。満足しきった、綺麗な猫だ…。銀の毛並みで目を閉じて、俺の指を舌先で舐める。

「雄介のも…前とは違った…
 前は…もっと、舌を刺すような味だった…」

 前って…あの、クウガの最後の夜のこと…。
 あの夜、一条さんは、初めて口でしてくれた…。
 俺…あの夜も、あなたをとても愛していた…ね。

「そう、ですか…」

 俺は、静かに応えた。
 一条さんは目を開けて、俺の身体を見回した。

「すまない…痛かったよな、雄介…。
 なんだか、止まらなくなってしまって。」

 俺の身体は、やっぱりいろいろな模様がついている。歯形、爪痕、たくさんのキスマーク…。
 一条さんは、俺の身体中に、自分を刻印していた…。

「いえ…嬉しいです。全部、あなたのしるしつきで…。
 ちょっと、気が狂いそうでしたけど〜」

「ごめん…もう、しない…。」

 一条さんが心配そうに、血が滲んでいる肩の噛み痕に触れた。

「ああ…ここ、ひどいな。手当てしないでいいか?」

「大丈夫ですよ。すぐに治ります。
 でも、もうクウガじゃないから、しばらくは一条さんのサイン入りですね〜」

 笑っている俺の顔を見て、それから一条さんも苦笑した。

「本当に、食ってしまいたかったんだ…。」

 俺は、その心配顔の頬にくちづける…。

「一条さん…
 いいですよ、食べたかったら、食べて。
 一条さんは、どっちがいいんです?抱くのと抱かれるのと。
 俺…最初から、無理矢理抱いてしまったけれど…
 あ〜、今さら聞くなんて、ひどいんですけど…」

 腕の中の一条さんが、面白そうな表情で俺を見て、さらりと応える。

「俺はどっちでもいいんだ。
 男に抱かれたことも、抱いたこともある…女を抱いたこともある。」

 うわ…。一条さんったら。
 俺以上にこだわりのない人だったんだ…。

 ちょっと驚いて、黙ってしまった俺を、一条さんが気遣う。

「雄介…妬かないでくれ。昔のことだ。
 惚れているのは、おまえだけだ…。
 感じるのも、おまえだけ…。」

 甘い言葉で慰めようとしてくれる恋人に、俺は首を振る。

「もう…妬きません。
 俺は、大丈夫ですよ。」

 俺の笑顔に、一条さんが見とれているのがわかる。
 一条さんは、よくこんなふうに、俺を見ていた…。
 面白がるように、可笑しいように、楽しんでいるように、慈しむように。
 可愛がるように、懐かしいように、抱きしめるように、恋しいように。
 ずっと、見慣れた表情だったのに、この瞳の意味も…俺はやっとわかるようになった…。

「俺は…おまえとならば、どっちでもいい。
 今は、抱かれるほうがいいかもしれない。
 雄介に抱かれるのは…好きだ。ひどく、いい…。
 だが、俺もやっぱり男で…たまには攻めたくなるらしい…。」

 一条さんは俺を見て、苦笑していた。

「嫌だったんじゃないか?雄介…?」

 俺は、また首を振った。

「我慢しないでください。
 俺も、一条さんとなら、どちらでもいいです。
 俺、尻はヴァージンですよ〜〜
 捧げちゃいますから、よかったら、もらってください。」

 明るく言う俺に、一条さんは、笑いころげた。

「雄介…嬉しいけど…いいのか?」

「はい。きっと楽しみも倍になりますよ。」

 また俺の笑顔に、一条さんが見とれて…それから、起き上がって俺の上に乗りかかり、見下ろし、見つめる。

「雄介…。自由なおまえが帰ってきた…。」

「はい…。俺は、自由で脳天気な冒険野郎で…あなたを愛してます。
 それだけの単純な男。俺は、もう怖れない…。」

 見上げて断言する俺を見て、一条さんが幸福そうに笑う…。
 ああ、やっぱり、心配させてしまっていた…。
 あなたは、最初からいつも俺を見て、俺を知り、理解してくれていた。
 俺は何も話さず、笑顔でいることを心掛けていたのに、いつの間にか、俺の苦しみを総てわかっていた。
 自分が死にかけても、あなたは俺を案じ続けていた…。

 そんなふうにあなたに愛されて…
 誰が不幸でいられる?
 誰が傷ついたままでいられる?
 誰が怖れ続けていられる?

 勇敢な、美しい人…俺の生涯の宝は、あなただ…。
 俺は、憧れ続けるだろう…あなたを探して旅に出て、またあなたに帰っていくだろう…。
 あなたと同じように勇敢で美しいものを…俺は必ず見つけて帰り、あなたに見せよう…。
 あなたが俺にしてくれたことを、俺もあなたに伝えよう…。

 俺が一人で立てば、あなたは自由に俺を愛してくれる。
 風に向かい一人で立つあなたを、俺も愛していよう。
 …そんなふうに、俺たちは一人ずつで、そして二人でひとつの人生を、生きていこう…。

 俺は、一条さんの頭を引き寄せて、ゆっくりくちづけた。

         ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

「で…一条さん…?
 今はどっちがいいんです?」

 俺は、一条さんを抱きしめながら訊いた。
 俺の腕に頭を預け、寄り添っている一条さんの身体が、また兆してきていることを知っていて。

「雄介…苛めないでくれ…」

 苦笑する声が、僅かに媚びを含む。

「抱いて…いいですか?
 やっぱり…したいんです。入って、ひとつになりたい。」

 俺の言葉も、もう一条さんに似て、直線的だった。
 裸のままの一条さんを抱き寄せていて、俺はとっくに求めていた。
 肩から背へと、腰へと…俺は撫で降ろす。
 この身体、この線、この肌が、どうしようもなく俺を誘う。すぐに俺は苦しくなり、焦がれる。

「欲しいんです。抱きたい…。」

 俺の手に、一条さんはもう反応して、小さく喘いだ。

「雄介…抱いてくれ。
 俺も…欲しい。
 開いて、入ってくれ。
 ひどくしても、いいよ…。」

 俺の首に腕を巻いて、一条さんが真剣に応える。
 俺は首を振った。

「優しくします。
 あなたが耐えられなくて叫び出すぐらい、優しくします…。」

「じゃあ…そうしてくれ…。」

 一条さんは目を閉じた。
 俺は、優しく優しく愛し始める…。

         ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 さっき、一度果てていたから。俺は急がずにいられた。
 一条さんを溶かすことだけを考えた。
 ゆっくりゆっくり身体中にくちづけて、柔らかく舐めて、優しく噛んで、指先で触れて…俺は一条さんを愛した。
 身体の温もりを分け合うことの意味を、俺に教えたのは、この人だった。
 そして…気付いてみると、この人にそれを知らせたのは、俺だったのかもしれない。
 大好きな首筋を甘く噛みながら、思わず笑った俺に気付き、一条さんが俺の髪に頬を寄せる。

「雄介…なに…?」

 声がもう蕩けかけていることを喜びながら、俺は応える。

「俺…一条さんに教えた人のことをずっと妬いてたんですけど…
 もしかしたら、それって…」

 顔を上げた俺の額に、一条さんのキスが落ちる。一条さんも、ゆるく笑っていた。

「雄介…自分に妬いて、どうする…?」

 応えを聞きながら、俺は唇でゆっくり肩をなぞっていた。

「おまえに抱かれて、救われた…
 そのまま、返しただけなんだ、俺、は…」

 少し息が乱れている。

「はい…」

 ゆっくりと髪を梳き、剥き出しにした耳をそっと舐めながら歯を立てる。
 小さく溜め息をついて震え出す身体を抱き止めて、舌を入れた。

「う…ん…」

 一条さんは目を閉じ、眉を寄せて耐えている。腕を柔らかく俺の身体に回してきた。
 舌で深く探ると、堪えきれずに仰け反りかける。
 肩から背へと掌を滑らせて、宥めた。

「…暴れてしまわないで…力を抜いて…溶けていって…
 気持ちいいことしかしませんから…」

「…うん」

 俺に身体を預けたまま、目を閉じた一条さんが笑う。
 俺はもう一度、触れ尽くした。一条さんの身体は暖かく、柔らかくなっていて、肌が掌によく馴染む。

「膝…立てて…」

 内股からゆっくりと滑り落ちて、俺の指は奥の蕾に届く。そっと撫でると、柔らかく濡れて吸いついてくる。
 少し押し込んでも、一条さんは喘がない。全身の力を抜いたまま、俺に任せている。
 ただ、唇が開かれて、目が焦点を失っていく。

「欲しい…入れて…」

 囁きが震えていた。
 指に潤滑剤を取り、また触れようとした。

「ちょっと冷たいですよ…」

「ん…」

 触れ直す濡れた感触に僅かに強張った身体も、またすぐに緩んでいく。
 周りに充分に塗り込めたあとに、指を埋めていった。一瞬締まりかけたけれど、また柔らかくなって、指を吸い込んでいく。溜め息のような息遣いが深くなる一条さんにくちづけながら、深く埋め、ゆっくりと動かし始める。

「ゆうすけ…ゆうすけ…」

 腕の中の恋人が、俺の名を呼びながら、俺を見つめている。けれど、もう堕ちかかっているから、きっと見えていない…。
 身体の中に挿した指で、一条さんの好きな場所を探り当てて擦り上げる。

「ああ…あ…ゆう、すけ…」

 一条さんはゆるく首を振りながら、いつものように急に乱れていく。
 仰け反りかける身体を抱きしめ、肌を寄せながら、さらに指で責める。

「ああっ…ゆうすけ…いい…いい…いい…」

 力の入らない手で俺に縋ろうとする。一度俺の肩を掴んだ手が、震えて落ちる。
 蕾も急に緩んできていた。腰が誘って、指を深く呑む。どろどろになってからまってくる。  指を増やした。

「あああ…いや…」

 声が少し高くなった。

「いたい…?」

 聴こえているかどうか…耳許で囁いた。一条さんは、僅かに首を振る。

「いたく…ない…いい…いい…まえより…こんな…こわい…ああっ」

 しゃべったら感じてしまったらしく、急に締めつけてくる。大きく仰け反りかけるのを抱き止める。

「俺がいますから…こわがらないで…」

 広げかけた指を少し止めた。柔らかくくちづけして、落ち着かせる。
 色気よりも、不思議に幼い、素直な表情になってきていた。

「ゆうすけ…いれて…もういってしまう…」

「もう少しだけ…我慢して…ね…まだいかないで…」

「…うん…」

 俺を見て、微笑む。可愛くて、胸が痛む。指をまた少しずつ動かし始める。

「…ああ…う…ん…」

 目を閉じて、眉をよせると、また凄まじい色気が甦る。
 この人の多彩な表情だけでも、俺は何度でもいける、と思う。
 一条さんは、また乱れて…俺に脚をからめ、いい声を出した。

「ああ…ゆうすけ…だめ…走ってしまう…波が…くる…」

「走らないで…目をあけて…俺を見て…」

 震えながら虚ろな目を開けて、俺に従おうとする。
 浚われそうになる瞳を見つめ、言葉で引き止めながら、身体を開いていった。
 時々、けいれんのような激しい震えが全身を走って、俺の指を食い締めてくる。

「ゆっくり息をして…いかないで…まだ、いかないで…」

 背を撫でて鎮め、そこを通り過ぎると、身体はさらに溶けて開く。
 何もかもが柔らかく柔らかく、とろとろに蕩けてしまうまで、俺は辛抱強く広げた。

 開いた唇からは、途中からきれぎれの悲鳴が漏れ始めていた。
 目を閉じたら達してしまうことを知っていたから、俺は、許さなかった。
 何も映さなくなった瞳で俺を見つめたまま、絶頂の間際で一条さんは留まり続け、やがて苦しみ出した。

「おねがい…ゆうすけ…もう…おねがい…おねがい…」

「はい…もう…はいります…ね…」

 どうしても、顔を見ながら入りたかった。
 指を抜き、自分に潤滑剤を塗っておいて、力の入らなくなっている震える膝を持ち上げた。

「ゆうすけ…きて…きて…」

 愛しい者が呼んでいる。急いで奪ってしまいたい熱を抑えて、徐々に埋めていった。
 柔らかい…吸い込まれ、呑み込まれていく…暖かい…。

「だめ…はやく…きて…きて…」

 途中で手を伸ばされて、引き寄せられた。力が入らない筈だった脚がからまってきて、性急に俺に貫かせようとする。

「あああああっ!!」

 最後は一気に奥まで、すべてが入ってしまった。
 俺を強く抱きしめたまま、大きく叫び、俺を呑んだ腰が律動した。
 締められ、こねあげられ、からまり、擦られる。

「ああ、いい…ああ、いい…ゆうすけ…いい…いい…ゆうすけ…ああ、いく…」

 うわ言のような叫びが続く。
 堪えさせ過ぎたから…ようやく望みが叶った一条さんは、いきなり達しようとしていた。
 久しぶりの一条さんの身体を味わう間もなく、俺も煽られ、翻弄されて流されそうになった。

「ああ…だめ…そんなに、うごかない、で…く…」

「ああああ…いく…あ…ああああっ!!」

 抱き込んだ一条さんの身体が跳ねて、溢れさせ始めたのがわかる。
 またひどく締めあげられ、からめ取られ、こね回される…俺は歯をくいしばって耐えた。
 長い絶頂を迎えている一条さんは、次第に声をなくし、喉を反らして声のない声で叫び続ける。
 …とても美しかった。暴れ過ぎないように抱き止めながら、堪えながら、俺はずっと見つめていた。

 やがて、少しずつ静かになった。
 一条さんは、思ったより少ししか放っていない…俺がまだ中にいるので、萎えもしなかった。

 一条さん…身体よりも心が喜んで…やっと一緒になれたことを喜んで、昇ってしまったね…。
 俺も…嬉しかった。
 また、こうして…俺たちはひとつだった…。

         ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 俺はまだ、一条さんの中に深く入ったまま、抱きしめていた。
 激しかった一条さんの息と鼓動が鎮まっていくのを待っていた。
 暖かくて、優しくて…動きたかったけれど、このままずっと、堪え続けたいような気もしていた。

「………っ…」

 喉に詰まらせるような気配がして、俺は一条さんの髪に埋めていた顔を上げる。
 一条さんは、達した時のままに目を閉じていたけれど…僅かに喉を反らして…目尻から光るものがこめかみに伝わっていた。

(一条さん…泣いている…)

 見ているうちにも、閉じた目蓋から次々に涙が溢れ、こめかみを伝い、髪を濡らした。

「一条さん…」

 俺は指で拭おうとしたけれど、拭いきれず、唇を寄せる。
 溢れ続ける涙を、吸った。
 俺は…なんだかしょっちゅう泣いていたけれど、一条さんの涙は見たことがなかった。

(でも…そうだね。あなたも心の中で、いつも泣いていたんだよね…。)

「…くっ…」

 一条さんが、また僅かに喉を反らし、唇を噛む。
 身体も俺を締めたので、俺も同調して、喘いだ。

「一条さん…我慢しないで…」

 俺は溢れてくる涙を吸いながら囁いたけれど、一条さんは目を閉じたまま、声も出さずに泣き続けた。

 長い長い苦しみと悲しみが、涙になって流れていく…。
 そうだね…。
 俺、何度も死んだものね…。
 何度も何度も死にかけたものね…。
 そしてあなたを離れ、行方不明になっちゃったものね…。
 俺…ごめん…ごめんね…。
 みんな、俺が吸うから、流し尽くして…。

「…雄介…」

 痛々しい声が俺を呼んだ。

「はい…」

「…夢、じゃないよな…?」

「俺、ちゃんといます。一条さんとひとつになって…いるでしょう?」

 俺の背を抱く指が俺をなぞる。
 内側からも確かめるように、締めつけられ、からみつかれる。
 きつく噛まれていた唇が、快感で僅かに開く。
 俺は、その唇にくちづける…。

「目を開けて…俺を見て…」

 またこめかみを涙が伝って落ちていく。

「いやだ…夢だったら、また消えてしまう…」

 こんな夢も見たの?
 夢で俺に抱かれて…目を開けたら、一人きりだったの…?
 ごめん…ごめんね…ごめんね…。

 胸の痛みに耐えられなくなり、俺の目も濡れてきてしまう。

「一条さん…大丈夫だから…目を開けて…俺を見て…お願いだから…」

 俺の涙声を案じて、一条さんが目を開ける。
 いつもいつも俺の心配ばかりして…一条さんの…馬鹿。
 綺麗な瞳が、涙で一杯だった…みるみる溢れて、またこぼれる。

「…ほら…いるでしょう…俺…ちゃんと、いるでしょう?
 一条さん…夢じゃない…夢じゃないよね?」

「雄介…泣かないで…」

 そう言いながら、一条さんも泣いていた…。
 確かめるように、またからみつかれて、俺は喘ぐ。喘ぎながら、俺も泣く。
 一条さんの目の中に俺の涙が落ち、混ざり合って溢れ、こぼれ落ちていく。
 俺の指が一条さんの涙を拭い、一条さんの指が俺の涙を拭うけれど、止まらなくて。

「ほら…いるでしょう…?」

 俺は泣きながら動き、一条さんは泣きながら手を伸ばし、俺を抱いて喘いだ。

「…雄介…雄介…」

 見つめながら、泣きながら、一条さんは昇り始める。

「一条さん…ごめんなさい…ごめんね…俺…ごめん…」

 見つめながら、泣きながら、俺も昇っていく。

「雄介…ゆう、すけ…ゆうすけ…」

 俺を呼ぶたびに、また涙が溢れていく。

「俺…います…ここに…いる…そばに…いる…」

 ゆっくり、大きく動いた。抜ける寸前まで引いて、強く深く挿した。

「ああっ!」

 仰け反ってまた閉じられた目蓋から、涙が溢れ落ちる。

「目を…開けて…俺を…見て…ここに…いる…見て…」

 俺はゆっくり責めながら、頭を抱いて目を合わせる。

「ゆうすけ…ゆうすけ…」

 俺の名前だけを呼び続ける…。

「泣かないで…一人で…泣かないで…俺はいる…ここにいる…」

 俺を見つめる目が、追い上げられて空白になっていく。
 それでも、涙が次々に沸き上がり、溢れ落ちていった。
 一条さんの涙が悲しくて…胸が痛くて…俺も涙が止まらない。

「ゆう、すけ…ゆ…すけ…」

「おれを、みて…いって…めを、とじないで…」

 喘ぐ為に、唇も開かれる。涙の湖が揺れる。

「ゆうすけ、かえって…きた?…ほん、とうに?」

「かえって…きました、よ…あなた、の…そばに…」

「おれは…ああ…」

 耐えきれずに仰け反って、また涙がこぼれ落ちた。
 それでも、また俺を見つめ、必死に言葉にしようとしていた。
 ずっと言えなかった悲しみを、言葉にして伝えようとしていた。

「おれ、は…ゆう、すけ…おまえ、を…ころさな、かった?」

「いかして、くれました…あなたは…」

「お、まえ…いきていて、くれた?ちゃんと?」

「います…ここに、います…おれは、ここにいる…」

「ほんと、に…?」

「ゆめ、じゃない…ほんとう、です…」

「おれは…とき、どき…わからなく、なって…」

「ごめん…ごめんね…おれ…かえらなくて、ごめん…」

 瞳一杯の涙の海。
 その向こうで…俺をまだ見つめて…

「おれの…ものなのに…
 ころさせないでくれ…
 しなないで、くれ…
 おれを、おいていかないで…」

 それから、一気に…一条さんは崩れ堕ちた。
 俺の身体に手足を絡めて、抱きしめてくる。悶えながら泣き叫ぶ。

「ゆうすけ…ぇ…!あああぁ…!」

 俺は目を開けていようとしていた。涙が邪魔でも、一条さんを見ていたかった。
 けれど、全身が絡め取られていた。引き寄せられ、包まれ、吸い込まれていた。
 俺も抱きしめて、動いた。あなたの中へ、もっともっと奥へ…もっと近く、もっとひとつに…
 夢中で進むうちに、目が見えなくなった…。

         ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 俺は…一条さんの上に倒れたまま、動けずにいた。
 気を失うぐらい…良くて、幸福で…指一本動かせない…。
 俺は気持ちいいのだけれど、これでは一条さんが重くて苦しいだろう、と思う。
 けれど、動けなかった。
 一条さんは、俺の全身を身体で受けたまま、俺の髪を梳いていた…。

「ご…めんなさい、俺…重いですよね?」

 だるい声が出る…俺、一条さんに吸い尽くされたみたい…

「大丈夫だよ…雄介…でも…」

 そこで、一条さんは黙ってしまったので、心配になって顔を上げた。
 ああ…一条さんの為なら、俺はいつでも動けるんだっけ…。

 一条さんは、片腕で目を隠していた。

「雄介…俺の涙腺が壊れた…」

 そっと手を退けると、痛々しく泣き腫らしてしまった目からは、まだ涙が溢れ落ちていた。
 一条さんは情けなさそうに苦笑して、俺を見た。

「困った…とまらない…」

 俺は伸び上がって、また溢れ落ちていく涙を舐め取った。

「…俺なんか…しょっちゅう泣いていました…最初から。」

「…そうだな。俺は雄介の涙に弱い…。」

「はい、泣き落としました〜」

 俺が笑って見つめると、一条さんも笑いかけて…また涙があふれる。

「ああ…本当に壊れましたね〜」

 今度は指で拭って、やっぱり舐めてしまった。

「俺も…こんなふうだった…」

「うん…悲しかったよ、俺も…」

 思い出させてしまったのか…俺の髪を大切そうに撫でながら、また目が溢れる。

「一条さん…この前、泣いたのは…いつ?」

「…おまえが…最初に死んだ時だ…」

 一条さんは、優しく笑う。笑いながら、泣く。

「なくしてしまった、と思った…同時に、気付いたんだ…
 でも、生き返ってくれて、おまえは…

 それっきり…すべてが終るまで、泣くまい、と思ってきた…」

「そりゃ…一条さん、我慢し過ぎたですね〜」

 俺ののんびり口調に、泣き笑いの顔で頷いた。
 止まらない涙を溢れさせながら、俺を抱きしめる。

「よかった…元気で、生きて、帰ってきてくれた…
 また笑って、俺を抱いてくれている…
 待っていて…よかった…
 俺は…撃たれる前も、死にそうになっていた…」

「俺も死にそうでしたよ。
 離れると、死んじゃいますね、俺たち…」

 涙ですっかり濡れてしまった髪を梳き、目蓋にくちづける。

「一条さん…俺は、元気で帰って、あなたのそばにいます。
 すべてが終って…新しく、また始まるんですよ…
 これからは、悲しいことがあったら、我慢しないで泣いてください。
 これからは、俺が一緒です…」

 俺は、できるだけ明るく、優しく言う。
 一条さんが、俺を見つめて呟く。

「すべてが終って…新しく、また始まる…」

「はい…」

 一条さんは静かにひとつ、深く息をした。

「そうか…これから、始まるんだな…」

 一条さんは、晴れ晴れと笑った。
 それから、俺の頭を引き寄せて、唇に軽くくちづけた。

「雄介…愛しているよ…」

 こめかみに、最後に一筋流れ落ちて…それっきり、涙は止まった。

「一条さん…シャワーしましょ?  目を冷やしてあげますよ…」

「その前に…雄介…肉を拾わないと…」

 一条さんが、笑う。
 俺はあわてて起き上がる。

「俺…卵が入った袋を、離したんですよ、確か…こう、パッと、思いっきり。ああ〜」

 思わずうめく俺を、面白そうに一条さんが見上げていた。
 けれど、玄関から点々と落ちていた衣類を拾い集め、ボタン部分が裂けてしまったワイシャツを見つけた時には、やっぱり一条さんもうめいた。

「まだ新しいんだ…気に入っていたのに…」

 俺もスーパーの袋を覗き込みながら、情けない声を出した。

「卵…ほとんど全滅です〜〜ああ、明日のパンもトマトも、ぐしゃぐしゃだ〜〜」

 俺たちは、まだ裸のままで顔を見合わせ、それからげらげら笑いこけた。

         ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 さぁ、これで…俺たちの物語も、ほとんど語り尽くした…。
 後は、駆け足で話そう。

 一条さんは、その翌日から元通りの警察官に戻った。しばらくはおとなしくする、と言っていたのに、すぐにスーパー刑事は甦ってしまったらしい。そんなに活躍すると、長野の犯罪がなくなっちゃって、仕事がなくなりますよ…と俺が言うと、それが一番いい、と笑っていた。
 亀山さんは、結局誰にも俺たちのことは言わなかったらしい。相変わらず、上司に結婚を勧められて困る…と、一条さんはいつか言っていたけれど、最近はそんな話もしなくなった。もしかしたら、あっさりカミングアウトしてしまったのかもしれない。一条さんならやりかねない…と思うけれど、俺は訊いていない。
 椿さんは、時々俺たちを邪魔しにやって来る。来る度に、違う恋人の話をするところを見ると、一条さんへの想いは消えはしないのだろう。でも、いつかも話してくれたように、一条さんが幸せそうに笑うなら、椿さんも嬉しそうで…相変わらず、俺を馬鹿、と呼んでからかう。
 ああ、この前、椿さんが連れて来た、建築をやっている…という背の高い青年のことが、俺はちょっと気になっている。磯谷くん、というその青年は、不思議に優しい眼で、椿さんを見ていた。俺は妙に懐かしい気持ちになった。一条さんも、同じだったらしい。単なる飲み友達だ、と椿さんが言ったら、その磯谷くんは、そうですね、今はまだね…と笑った。磯谷くんを睨んだ椿さんの耳朶が、ほんのちょっとだけ赤くなっているのを、俺は見てしまった。

 でも、まぁ、とにかく俺たちのことだ。
 俺は…そのまま、一条さんのマンションに住みついてしまった。時々、東京のほうにも行ったけれど、またすぐ長野に戻り、近くの喫茶店でバイトしながら、一条さんのそばにいられる幸福に浸った。俺は、毎日料理をつくって一条さんの帰りを待ち、一緒に風呂に入って一条さんの身体を洗い…そして俺たちは愛し合い、抱き合って眠った。お互いがいつも近くにいることが自然で、当たり前になってしまうまで…俺たちは絶えず寄り添っていた。
 バイクは、結局買わなかった。その代わり、俺はカメラを買った。最初は一条さんを撮りたかっただけなんだけれど、だんだん撮りたいものは増えていった。
 半年ぐらい経った頃、俺は機材をかついで旅に出た。まずは国内から。それから海外へも。大好きな、みんなの笑顔を探す旅に。子供たちの見開いた瞳に映る青空…しわくちゃの顔がほころぶ瞬間…時には、涙と汗…俺はたくさんの人々と触れ合い、愛し、満たされた。
 満ち足りれば、俺は帰っていった。いつでも、わくわくしながら旅に出て、一層どきどきしながら、また一番大好きな人の元へと旅をした。…はやくはやく会いたくて、俺はいつも最後は駆け出して、息を切らして恋人の胸に辿り着く。一条さんは、俺を抱きしめて、言う…馬鹿だね、雄介…そして、笑い出す。
 俺の機材で、一条さんのマンションはだんだん狭くなってしまった。もう少し、広い家を買おうか、暗室にできる部屋があるような家を…そんな相談を、最近はしている。雑誌社に持ち込んだ写真が、少しずつ金になるようになってきて、一条さんだけに家のローンを払ってもらわなくても済みそうなのが、俺は嬉しい。

 一条さんは、あれっきり二度と泣いていない。俺が…泣かせない。
 ああ…ベッドの上では別。ベッドの上では、一条さんは啼く。この頃は、俺も啼かされる。

 …じゃあ、最後は、こんな言葉にしよう。

 俺たちは、今も共に生きている。


          (The Sun & The Moon 完)

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終章:明日 そしてすべての あとがきへ