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陶芸Essay6

「金の丸?」

中国に「泥をもって玉となす」ということばがある。

泥から美しい焼き物が出来ると言うことらしい。

ところが日本人の感性は「泥をもって岩となす」と言った方がよいかもしれないと思うことがある。

しぜんな物、ゆがんだ物、破れた物でさえよしとするその感性は、世界的に見たら異質の方ではないだろうか。

たとえば盆栽。

手をかけているのに作意をみせない。

曲がりくねった枝振りに美しさを見いだす。

以前韓国に行ったとき、寺の色彩の鮮やかさに、目を見張ったことがある。

それが日本に来ると、ぐっと渋い色彩になり、これが日本人の美意識なんだと感じたものであった。

またある時、中国人のお客様がうちに来たことがある。

その時赤絵の色について尋ねられた。

「日本の赤絵の赤は、なぜ暗いのか?」と。

中国では暗い赤は好まれないと言う。

日本では、むしろ鮮やかな赤の方が好まれないという実感がある。

これもやはり日本人の美意識による物だと思う。

それにしても不思議なのは、日の丸の旗である。

シンプルで好きなデザインではあるが、真ん中の赤。

鮮やかすぎて、日本人的ではないような気がするのだが?

いったい誰のデザインなんだろう?

私だったら赤地に金の丸にしたかもしれない。     2001.2.8

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