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陶芸Essay5

「益子の空気」

益子を歩いていると、時々粘土をはだか積みしたトラックを見かける。

おお!やっぱり産地なんだなぁと感激したりする。

スーパーで買い物をしていると、ズボンに泥を付けた人をみかけることがある。

これも他ではめったにないことだろう。

益子参考館で見た犬は、益子焼きのどんぶりで、えさを食べていた。

まさか、人間国宝の浜田さんの作ではあるまいか。

仕事場の中に所狭しと並べられた、作りかけの品物。

益子の猫は、器用にそれをよけて歩いている。

益子には、益子の空気がある。

京都には、京都の空気があった。

有田にも、備前にも、その他の産地にも。

海の水が、その海の生き物たちを育てるように、

空気が、その地域のやきものを育てるのだろう。   2001.2.6

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