top>エッセイ目次

back><next

陶芸Essay10

「土間」

わが工房の床は土間である。

土間と言っても、本当の土の土間である。

土間は湿気が上がるので、作品が乾かず具合がよい。

そして万一落とした時、割れにくい。

初めて益子に来たとき、土間の臭いに郷愁のような物を憶えた。

子供の頃うちには土間があった。

北国だったのでそこには薪が沢山積まれていた。

母の実家では、土間の向こうに馬がいた。

人と馬と同じ屋根の下に暮らしていたのだった。

びーだま遊びをするときも、土間は具合が良かった。

釘のような物で、何カ所か穴をほり、ねらい通りにびーだまが入れば悦にいっていたものである。

なんのことはない、びーだまゴルフであった。ただ当時ゴルフと言う物は知らなかった。

ブリキのおもちゃの自動車があった。

ゴムタイヤがはずれて、トラクターの様に思えた。

それで土間を耕したものである。

土間には、「かまどうま」もいる。

虫の嫌いな人もいると思うが、子供の頃は全てが遊びであった。

そして、いまだに遊びが続いている。      2001.2.15

back><next