「リヴァーダンス」鑑賞レポート
'99.3.7 sun pm12:30〜 @東京・国際フォーラムAホール

PART 2 「リヴァーダンス」はスゴかった

第一部

ロウ・ホイッスルの幻想的な調べで幕を開ける第一部は太古からのアイルランドの歴史を表現しています。男女数人のアイリッシュダンサーが登場。上半身は動かさぬまま小気味よく靴で床を打ち、音を立てて一糸乱れぬステップを踏む。これこれ、これが見たかったのよ。
台詞は一切なく、幕間の冒頭に日本語ナレーションがわずかにあるだけ(これは評判悪かったらしいです)。その後は荘重な雰囲気のアカペラ・コーラス、イリアン・パイプスの独奏などを交え、ソロ、デュエットとステップ・ダンスが展開する。
舞台装置は基本的に「なにもない」です。渦巻き模様が描かれた石柱を模したセットとスクリーンが3枚。そこに月や緑の丘陵の風景が映されるだけ。衣装も至ってシンプル。基本的には唄と音楽とダンス、それだけで十分なんですね。これらは古くからアイルランドの人々の間で培われてきた「娯楽」であると同時に歴史に翻弄される中で体現されたアイデンティティであって、それに汎ヨーロッパ的なエッセンスを加え見事なエンターテイメントに仕立てあげているわけです。この辺りの素朴なまでのシンプルさ故の力強さがこの舞台が世界中でヒットしている所以なのでしょう。
前半のラスト近くになって「フラメンコ」も登場します。スクリーンには燃え上がる炎が浮かびあがり、妖しげに舞う女性ダンサー。アイリッシュ・ダンスが小気味よく床を鳴らすのに比べ、フラメンコのステップは床を踏みぬかんばかりに打ち突けます。来日直前のフジテレビの特番でやってましたが靴にマイクが仕込んであるそうです。
最後は再び、アイリッシュ・ダンサーがプリンシパルをメインにステップを鳴らして前半終了。踊っている時はキリリとした表情だったプリンシパルがソロが終わって挨拶をする時にとてもニコニコしていたのが印象的でした。

20分の休憩に再びロビーで無料コーヒーを頂く。うーんネスカフェ。

第二部

第二部は近代のアイルランドの苦難の歴史を表現しています。貧困と英国プロテスタントの支配から脱するべく、アメリカへ渡っていった移民たちが自分たちのダンスや音楽をこころの糧とし、また同じく苦汁を嘗めているアフリカ系の人々の文化との折衝の様子も描いています。
移民たちが夢を抱いて到着した街、ニューヨークがスクリーンに映し出され、力強いアフロ・アメリカンのゴスペル調の唄が響き渡り、やがてそこにアイルランド人たちの美しいコーラスが加わり共に唄います。
そして第二部で最も盛り上がり、観客に受けていたシーン。それがアイリッシュ・ダンスとタップ・ダンスの対決です。サックス・プレイヤーを従え、ジャズ風のテーマに乗って登場したアフロ・アメリカン3人が軽快なステップでダンスを披露します。ムーン・ウォークまで登場してほとんどヒップ・ホップ調です。そこにフィドラーを従えたアイリッシュ・ダンサーも3人で登場。「チャラチャラ踊るな〜」と言わんばかりに上半身を動かさないステップでタップスに迫ります(けっこうコワイ)。一方のタップスはさらに激しい踊りで対抗したかと思うと「これでええのか?」とアイリッシュ・ステップを真似てみせ、それを見たアイリッシュは意地になって手を振りまわしタップスを真似る!さらにはフィドルとサックスも掛け合い対決を繰り広げますがそうこうしてるうちにお互いのダンスの腕前を認め合い、最後は仲良くそれぞれのステップを揃い踏み。やんややんやの大喝采。なかなか楽しいシーンでありました。
バウロン2台の伴奏でのゲール語の唄やバウロンのソロ(裏側も叩いているように見えました)またフィドラーが舞台を泳ぐように動きまわりながらの演奏などはさみ、その後はアクロバティックな動きも含めたロシアン・ダンスの登場。ここでは謎の楽器(私が知らないだけですが)「Gadulka」が活躍。そして再びのフラメンコ。
最後は「故国に帰還したアイリッシュ」をテーマに再び、大勢のダンサーが一糸乱れぬステップを披露しますが、前半と違い、実に晴れやかな表情で踊ります。そしてフラメンコ、タップ、ロシアン、すべてのダンサーが順に登場。それぞれのステップを披露し、最後は全員で大団円。

幕間を挟んで2時間半がアッという間に感じられる展開の早さとヴァラエティに富んだ内容。
余計な台詞も大掛かりなセットも華美な衣装もなく、ただひたすらに唄と音楽とダンス。
その余りにもシンプルな構成がかえって人間本来の表現力を見せつけてくれたように思います。

Gen Ikegami '99.3.18

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