ひとびとの話 その5 攻撃は・・・(前編) なにやら身内ねたばかりになって申し訳ないのですが。 今回登場するのは,義理の母。先日お話したわけのわからない注意書きを送ってきた脳天気義理父の,伴侶,な訳なヒトのお話です。 義理父が180センチの背を誇るのに比べ,義理母のほうは全体に小さい。155センチあるかないか位の身長で,細くて華奢な感じのヒトです。 こう書くと,なにやら義理父がどんと構えていて義理母がそれに寄り添ってる,みたいな美しい図を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが,人生そううまくいくわけがない。 元気のよすぎるのも困ることがあるんです。 その日,わたしと同居人,そして義理父母の四人で,横浜の某チェーン店のハンバーグやさんに出かけたんですね。このハンバーグやさん,ラグビーボールのようなハンバーグを炭火で焼いて,お客さんところに運んでからじゅうじゅう切り開いてソースかけるのがウリの,地域では結構名前の知られたお店です。 高速出口の近くという立地条件上,ターゲットはクルマのお客さん。当然わたしたちもクルマで行ったのですが,土曜日の夕食時,必殺大混雑でありました。 店の入り口までもうちょっと,というときです。 強引に移動しようとしていたクルマ同士が小競り合いのすえ,接触したんですね。 彼ら二人とも,彼女連れ。 「ここのレストラン,横浜でも結構有名でさぁ,うまいんだよ」 でもこれはいけない。かれらはともにクルマを降りると,今にも殴りかからんばかりの調子で怒鳴りあいをはじめたのです。 「あんたたち何やってるのよ,迷惑でしょ」 ちょっと待ってくれよ。なんでアンタが出て行くんだよ・・・? そうです。さっきまで隣にいた義理母が,いつのまにか,怒りに顔を真っ赤にしている野郎二人の間に入って怒鳴り倒している。 「すっこんでろばばぁ!」 「まぁ,きみたち,きみたちももうおとななんだから,冷静にならなきゃいけないよ」 んなもんでとまるもんなら苦労はしない。 「よくないな,きみたち。もっと紳士的にならないと」 まだ言ってる義理父を荒っぽく野郎のひとりが脇にどけ,義理父おとなしく退散。 後に残ったのは,さらに怒りを膨らませた野郎二人と,いまだ間に入って,どう考えても喧嘩をあおってるとしか思えない義理母。 野郎のひとりがついに腕を振り上げました。相手もやる気で間合いを詰めます。義理母はまた強引にその間に入り, 「殴るんならアタシ殴ってみなさいよ」 とこう。 義理母。甘いよ。連中ホントに切れちゃってるんだから。殴れなんていったら殴っちゃうよ。ほら,胸倉とられちゃって。あ〜あ,それでもがんばるし。義理父は?あれ,居ないし・・・。これだけヒトが見てるのにどうして止めてくれないのよ。でっかい男連中だっていっぱい居るじゃんよ。だいたい,こいつらの彼女何やっとるんだ。おめぇら出てきて止めろよ。 とにかくあんなんに殴られたら義理母は絶対に壊れてしまう。気合はいってたって華奢のものは華奢なんだし。 ・・・・ちくしょ〜。しょうがねぇ・・・。 |