僕はヒップホップが嫌いだ。ヒップホップグループの中には、だいたいデブがひとり入っている。そのデブは、だいたいヒゲが生えていて、だいたいキャップを斜め向きかぶっていて、だいたいがデブでも似合う、ぶかぶかのヒップホップ的な服を着ている。そして機嫌が悪そうな顔で、両手を前に突き出してヒップホップ的なポーズを取る。デブは、みんな顔が同じになるから、そいつらも全員同じに見える。まず第一にそれが恥ずかしくないのかと問いたい。デブ差別主義者の僕としては、デブがデブのままモテようとたくらんで、デブとして生き残る最終手段としてヒップホップを選んでいる気がしてならない。そんなデブを受け入れる、ヒップホップというジャンルと友達になりたくない。ヒップホップに関しては、実はあまり詳しくないのだけど、そんなくだらない理由もあり、毛嫌いしてきた。
昨年頃から人気が出て来たRipSlymeを、最初に目にしたのはカウントダウン番組の中だったような気がする。めちゃめちゃポップでスタイリッシュで楽しそうなプロモーションビデオがすごく印象深く、そのセンスの良さが気になってCD屋さんで『TOKYO CLASSC』を思わず手に取ったのが1年前くらいだった(実際にRipSlymeは、その年のプロモーションビデオの賞を総なめにしている)。聴いてみると、やはりセンスの良さは、楽曲にも反映されていた。ちょっと売れ線狙い過ぎ感もあったけど、抜群にポップなアルバムだった。今年も初夏に新しいアルバム『Time to Go』を発売。このアルバムの出来も相当に良い。昨年のものよりも、もっと自分勝手に、自分達が楽しいと思える曲を詰め込んでいる感じだ。ヒップホップをベースに置いているものの、ポップなアイデア満載。昔、フリッパーズギターがやったように、ジャパニーズポップスに新しい流れを作ってると思う。
僕は、地味だけど3曲目の『What`s up?-How`re you doing?』のめちゃめちゃ楽しそうな感じとか大好きです。ボイスベースに、ボイスドラム、それにラップをあわせて、人間の声だけで曲は構成されている(もちろん音的な加工はされている)んだけど、やってる本人たちが、すごい楽しそうなわけ。これって、バンドでジャーんと曲を鳴らした、あの時の快感と同じ種類のもののはずなんだよね。とにかく、アルバム全体を聴いていて「楽しそうだなぁ」って思える。僕も曲を作るけど、暗い歌になりがちだから、このセンスの良さと、とびきりの明るさは見習いたいところ。初夏に出たアルバムで、今さら感もあるけれど、今年の夏のアルバムの中では秀逸です。