YOU GOTTA GO THERE TO COME BACK / STEREOPHONICS
僕はレコード屋さんで新譜を試聴する時、最初の2〜3曲だけを聴く。レコードの冒頭の構成は、アルバムの顔とも言える部分だから、最初の方を聴けば、だいたいのクオリティが解る。いいアルバムは、冒頭の数曲の頭15秒くらいを聴けば、心に何かをズバッと突き刺してくる。
ステレオフォニクスは、前々から気になりつつも、その試聴の際に感じるものがなく、手に取るにいたらなかったイギリスのバンドなんだけど、このアルバムは数秒だけ視聴して、即買いした。1曲目の「Help Me」も乾いたエレキギターのカッティングが効いていて、かっこ良いと思うのだけど、何よりも買いとなったポイントは2曲目の「Maybe Tomorrow」。
1曲目のロックナンバーから、2曲目の「Maybe Tomorrow」へのつなぎはここ最近感じることの少なかった、ドラマティックな展開。バラードというよりは、R&Bに由来する心地よいリズムと黒っぽいコーラス。ロックバンドが、ここまでR&Bの要素をうまく昇華している曲はそんなに多く聴いたことがない。レニー・クラビッツがそういうことして、曲をかっこ良く仕上げるけど、それとも少し違う。それよりももうちょっとだけ白っぽいんだよね。黒とか白とか言うと怒られるのかな?この曲に象徴されるように、このアルバムには「あぁ、センスいいなぁ」って思う曲があるんだよね。そういう曲は、どの曲もやや黒っぽいのも特徴。
「Maybe Tomorrow」が終わると、またチカライッパイのロックンロールナンバーが始まる。この頭の3曲の展開、ずるいね。2曲目がこのアルバムをぐっと引き締めてる。と、僕はそう思う。中盤から後半にかけてもすごくいい。僕はこのアルバム好きです。以上。