LET IT BE... NAKED / THE BEATLES
ビートルズ好きの僕が、最も聴いた回数が少ないアルバム。それが「LET IT BE」だった。ビートルズ名義での最後となったこのアルバムは、既に崩壊状態にあったビートルズというバンドが演奏しているものの、その選曲も曲順も彼等の意志は反映されていない。レコード会社が一方的に発売したアルバムなのである。そのせいか、このアルバムは1曲1曲がバラバラしていて、まとまりがなく、聴いていて悲しくなる。あった曲の寄せ集めという感じであり、またそれは事実でもあった。寄せ集めだ。他のアルバムに比べ、完成度は相当に低いと僕は思っている。だから、僕は「LET IT BE」をあまり聴かなかった。当然、今もあまり好きではない。
新発売された「LET IT BE... NAKED」というアルバムは、当初にビートルズが構想として持っていた、本来の「LET IT BE」の曲順で再構成されていて、アレンジもプロデューサーが勝手に触る前の、素のままの演奏のものが入っていることが売りになっている。このアルバム発売のニュースを聞いた時は「またまた。。。」という気持ちが正直なところであった。手を替え品を替え、ビートルズをだしに使った金儲けだろうと思った。しかし、このアルバムはすごい。まさに「LET IT BE... NAKED」だ。曲順が変わっただけなのに「LET IT BE」は、抜群にいいアルバムに生まれ変わっていた。入っている曲は、2曲が取り除かれ、1曲が新たに組み込まれている。その新たに組み込まれた1曲「DON`T LET ME DOWN」。この曲が、アルバムをぐっと引き締めた。うまくいえないのだけど、この曲が肝である。
これが、本当にビートルズが当初想定していた曲順なのかどうかは、実際のところは分からない。でも、実際「LET IT BE」は生まれ変わったと僕は感じる。「One after 909」も「I ME MINE」も「Two of us」も、1曲1曲は好きなのだけど、それがつながっていなかった。でも、このNAKEDで、見事につながった。僕の中で仲間はずれにされていた「LET IT BE」がようやくビートルズのアルバムとして成立したと思う。間違いなくお勧めできる。まゆつば物だと思って買っていない人。必ず買うべしです。