1月23日 日曜日 大串氏とスノボ
大串氏は一本も滑っていない山の中腹あたりで「きつい」と言った。今日は嫁と大串氏とGALA湯沢でスノーボード。朝6時台の新幹線に乗って、眠気をこすりながら新潟県にやって来たのだ。僕にとっては、今年初の休み。がんがん滑るぞーと張り切っていたら、大串氏のいつものヘナチョコ発言だ。大串氏はずるい人で、このヘナチョコキャラを駆使し、面倒な役割、厳しい状況が自分に降りかからないようにする類稀な才能の持ち主である。「大串氏はがんばらなくっていいや」、「がんばらせたらいけないんだ」、「任せたってどうせ途中でくじけるさ」って、周りの人がうっかり思ってしまうのである。高校一年生の時に同じクラスだったのだけど、妙にクラスの女子の人気を集めていたのを覚えている。九州男児ひしめく暑苦しいクラスの中は、大串氏のヘナチョコキャラは新しかったのだ。クラスの中には「グッシー、グッシー」という黄色い声が飛び交っていたものだった。ちなみにその頃は60kgにも満たないほどのガリガリ君であったが、今は80kgくらいになってしまっている。
「きつい」と言った大串氏に、うちの嫁がキラキラした目で反応する。仲間を見つけたときの目だ。夫の僕から常にがんばることを求められ、ストレスがたまっていたのだろう。男のくせに、スノボに来て一本も滑らないうちに「きつい」と言って許される大串氏のキャラがツボにはまったようだった。大串氏は、こうやって、巧みに人の懐に飛びこんで行くのだ。嫁のきらきらした目を見ながら、そういえばこれは高校の頃に良く見た光景だと思った。大串氏の特技はそれだけではない。彼は、こうやって人目を欺いてはいるが、非常に要領良く物事を切り抜ける賢者である。高校一年のときは、数学が特に苦手で、0点を取ってしまうくらい。成績全体でも中の下くらいだったが、そうそうに数学をあきらめたと思ったら、いつのまにか東京の某名門私立大学に合格していた。卒業後、通信会社最大手の九州法人に就職したと思ったら、これまたいつのまにか、本社に転属しているというしっかりぶり。押さえるところは押さえる。これが大串氏の真骨頂。本当に彼には頭が下がる。そんな大串氏のおかげで、うちの嫁も無理なくスノボを楽しめたようだった。さすがみんなの味方、大串氏。そして、彼のボード使いは意外にも巧みであった。みんなの味方、大串氏です。掲載NGですか?