4月10日 土曜日 北の国から
昨日は3時まで飲んでいたというのに、5時にたたき起こされた土曜日の朝。今日は妻と僕の共通の趣味であるスノボに出かけるのだ。九州出身の僕としては「4月になったのに、雪なんてあるんですか?」という感じなのだが、妻曰く「ゲレンデはゴールデンウィークまでやってるトヨ(エセ博多弁)」とのこと。我々は雪を求めて北海道はキロロリゾートに宿を取った。キロロリゾートは小樽の近辺にあって、多分バブル全盛期に勢いだけで作られたらしい、哲学のないハリボテリゾートで、到着してホテルの中に入ると人もまばらで、内装は安っぽいし、気が滅入るほど廃れていた。とはいえ、多分ベストシーズンには人がそれなりにたくさんいるようではある。こんな雪の状態が悪い4月にスノボをしようなんて、舌(足)の肥えた北海道の人はちっとも考えなくって、アホな東京人とかが「北海道ならまだ滑れるでしょ」と、馬鹿ヅラ下げてノコノコやってくるというのが実情らしかった。さすがに雪の状態は良くなく、コースも60%くらいの稼働率で、一年前に北海道で体験した、すばらしい雪の感触とはほど遠かった。北海道の名誉のために言うと、北海道のゲレンデの雪は、本州の雪とは比べるのも失礼なくらいすばらしい。パウダーと言われる雪の状態は日中含めて、氷点下を保ちつづける北海道でしかその状態を保てないのである。
妻はというと、スノボ歴も長いくせに、相変わらず無難に斜面を滑り降りるだけで、向上心のかけらも見受けられなかったので「攻めの滑りを心がけろ」と、フォームの改善とさらなるスピードアップを促していたら、スピードに耐えきれず、すさまじい大転倒をしてしまった。遠くで見守っていたのだけど、数分たっても立ちあがらなかったので、様子を見に行くと、これ以上滑れそうになかったので、そこでスノーボードは止めて、晩御飯までお昼寝をした。胸の辺りが痛いと叫びつづけるので症状をヒアリングすると、どうもあばら骨が折れているようだった。「ほっときゃくっつくよ」と、軽く励ましてみたが、内心悪いことをしたと悔いた。あばらがおれた妻と夕食時に食堂に行くと、シーフードバーベキューのバイキングになっていて、カニに恵まれないらしい夫婦が狂ったようにカニを食べていた。そういう僕はというと、いくらに恵まれない人のように、いくら丼を食べ過ぎて、あっという間に他のものが食えなくなってしまった。4000円も払って食い放題にしたのに、結局いくら丼くらいしか食えなかった。つまり、4000円のいくら丼を食べたのと同じと言うことだ。しかも、食い放題に出されているほどだから、たいしたイクラでもなかったであろうと推測される。ペース配分を誤り、まんまとキロロリゾートの思うつぼにはまった僕らは、無念のうちに食堂をあとにした。カニ夫婦の方を見たら、相変わらずカニばかりを食べていた。あわれなり。
ホテルに到着してはしゃぐ妻。
HOTELのOがとれてる辺りが、すたれ具合をあらわしています。