1月25日 日曜日 食いっぱぐれのない商売


 自分では新しいことを始めたつもりでも、他の人にとっては新しいことでもなんでもなくって、自分の知らなかった世界にたくさんの人々が、すでにタムロしているということを最近よく感じる。世界一人旅にでれば、世界一人旅をしている人達がたくさんいるし、バンドを始めればバンドをやっている人がたくさんいるし、登山を始めてもダイビングを始めても、英会話を始めても中国語を始めても、そこにはすでにたくさんの人がいる。草野球を始めてもホームページを開設しても、グランドにはあふれるほどの草野球プレイヤーがいて、WWWには信じられない数のホームページがある。そして、そこは入り口でしかなく、それぞれに奥の深い世界があって、底の見えない宇宙のようになっている。今度は、結婚しようとしている僕の目の前に、たくさんの結婚する人達があらわれた。今日はホテル主催のブライダルフェアに行ってきたのだった。婚約者は仕事なので、ひとりで…。

 良く考えれば、ほとんどの人は一度や二度くらい必ず結婚するわけで、世界が平和である限り結婚式場が商売に困ることはないのである。斎場もそうであろうし、自動車学校なんかもそうである。前に読んだビジネス本かなにかで、ヒゲソリ会社を買収した社長が「いま、この瞬間にも全世界の男達のひげが伸びつづけていると考えると、夜も安心して眠れる」みたいなことを言っていた。つまり、そういうことなのだ。彼らは食いっぱぐれない職種なのである。なくなるおそれのない需要に応える職種。

 ウエディングドレスコーナーに行くと10人くらいの未来の花嫁が、試着にいそしんでいた。ああいうのは、その場に一人しかいないから素敵なのであって、こんなに目の前にうじゃうじゃいると、なんともありがたみのないものであった。僕は、要領の悪いが、決して悪人ではない僕たちの担当者・今井と、今後の話を確認して披露宴を予約した。6月19日土曜日が僕たちの結婚式になった。予約を終えて、外に出るとすでに真っ暗だった日曜日の夜。いろいろやることがたくさんある。しばらくは、やらなくてはいけないことをやる日々が続きそうである。

モデル式場にて。こんな花を置こうとすると、何十万もかかる。あくまでモデル。

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