1月3日 土曜日 サムライスピリッツ 〜The LAST SAMURAI
感動した。最近よく考えていたんだ。日本は日本を壊しすぎたって。壊しすぎた。とはいえ、日本はどう変わっても日本でしかない。昔から日本にある美学や価値観は未だに僕らの根底に流れてはいる。それは外国人には異質なものとして伝わり、時に「サムライスピリッツ」と呼ばれる。僕らにとっては当たり前となっている振る舞いや価値観が、外国人には鮮明に「ニッポン」を感じさせるのではなかろうか。それが、ハリウッドを動かしてThe LAST SAMURAIという映画になった。僕は今日、それを見て感動したのだ。この映画には、外国人の目を通して濾過され、研ぎ澄まされた「日本の心」が表現されている。「武士道」の精神。古き日本の美しい風景。すべてが外国人の目を通すことによって、僕らが当たり前だと考えているものが、当たり前ではないものとして、美しく描かれている。僕らが当たり前だと思っていることやモノに潜んでいる美しさ、潔さを、それに共感した外国人の作った映画に教えられてしまった。この映画を見て、なにも感じないな人は、日本人なんてやめてしまえばいい。変わらなければいけないものもたくさんある。でも、残していかねばならないものもある。そこを正しく残していかねば。
マトリックスリローデッドを見に行ったときに、この映画の予告編を見たときは、なんだかまたちゃちなちょんまげ物を、サムライ好きのアメリカ人が作ったんだろう、と高をくくっていた。これも見に行くことになったのも、母親が見たいといっているので、なんとなくついていったのだった。全然乗り気でなかった僕は、始まって20分後には映画にとりつかれていた。何はともあれ、映像がすごい。ハリウッド、ハリウッドってみんな言うけれど、ハリウッドってむだに「ぼかーん」とか「どかーーん」とかやってて、そういうのエンターテインだって言うのかもしれないけど、正直全然好きじゃない。殺しあいとかして、銃で「ばきゅーん」とか、全然好きじゃない。ガソリンスタンドが「ずがーーーーん」とか、そういうイメージ。僕はもっと、しみったれたヨーロッパ映画とかが好きなんだよね。しかし、今日のこの映画を見てハリウッドって本当にすごい!と心のそこから思った。特にサムライ側の騎馬隊と政府軍との闘いのシーンは、いったいどうやって撮っているのかわからないほどすごい。馬に下敷きにされる人たちや、撃ち殺される馬のシーンや、どうやって撮っているのか分からないけれど、本当の戦闘シーンにしか見えない。加えて、ちゃちな時代劇のように見えないのはメイクにおいてのリアリティの追求も大きい。変なおしろいとか一切塗っていなくって、人間の質感に生々しさが宿っている。とにかく、すべてが幕末の日本を描くために最善を尽くされていて、それは日本の時代劇なんておままごとにしか見えないわけです。
映画を見終わった僕は、さっそく映画のパンフレットを買い、中に書いてあった「武士道」の文字を携帯電話のカメラで撮影し、壁紙に設定した。携帯電話の待ちうけ画面に燦然と輝く「武士道」の名に恥じないように、しばらく生きていこうと思う。そんなんじゃいかんのか…。