10月5日 日曜日 朝ビール。
目が覚めた。日曜の朝、午前3時。僕の部屋は、昨晩から友人4名ほどで盛り上がっていた。会社の同期の田邊氏、木瀬氏、村越氏と、我々の会社の宿敵、D社の岡崎氏。みんな、わざわざ僕の部屋まで遊びに来てくれたといういうのに、ホストの僕は昨晩の9時くらいから今の今迄、ほぼ6時間、大いなる睡眠に落ちてしまっていた。6時間というと、平日の普通の睡眠時間。つまり、普通に寝てしまったということ。まったくもって不覚。客人に悪いことをした。もうひとりいたはずの中川氏は、もう部屋にいなかった。僕は粗相を取り戻すべく、しゃきっと起きる。
オールナイトモードの客人たちは、僕が寝ている間にやることがあるわけでもなく、退屈しのぎに数本の映画を見終わって、まったりとしていた。部屋にある僕のDVDは、どれも不評だったよう。特にビートルズの名作「Yellow Submarine」に対する評価はひどいもので、見ていた全員が退屈し、たまりかねて途中でスイッチオフの刑に処されたとのこと。サイケブームの前衛映画としては、僕は傑作だと思っているのになんてことだ。1960年代にあんな映像を作ること自体ぶっとんでいて、僕は素敵だと思いますが、その思いはビートルズファンとしてのひいきめが入っているので、ここはぐっと胸に収める。
次の映画は「ボーリング・フォー・コロンバイン」。アメリカの銃犯罪を題材に、こんなアメリカに誰がした?と、原因を究明していくドキュメンタリー映画(有名な映画なので皆さんご存知かと思いますが)。僕も上映時に映画館に見に行った。再度見てみても、よく出来ていて結構楽しめた。結局、なにが決定的な要因かというのは、映画のなかで断言したりしないんだけど(できないと思うけど)、僕は最後に出て来た全米ライフル協会の存在がある事自体、つまりそういう社会の構造になっていること自体が問題のベースかなぁとおもった。そんな単純ではないのだけど、、、。ま、みなさんも見てみて下さい。この映画を見たのは生き残りの村越氏と木瀬氏と僕の3名。田邊氏、岡崎氏は熟睡モードだ。映画が終わった頃には外も明るくなり、僕らは飲み物を買いに近くのコンビニに買い物に出た。村越氏はそこで帰宅。コンビニで買ったサントリーウーロン茶の2Lペットボトルを手に部屋に戻ると、寝ていた田邉氏が復活。入れ替わりで木瀬氏が沈没する。僕はウーロン茶を横目に見ながら、冷蔵庫からビールを取り出して来て、田邉氏に朝ビールをけしかける。田邉氏はそれに乗った。僕らは朝の鈍い光が窓から入ってくる静かな部屋のなかでビールを飲みながらいろんなことを話した。
朝ビール。これ、僕、ほんと、好きなんです。二日酔いをビールで迎え撃つ横暴な感じで、僕らはビールをゴクゴクと飲んだ。うまい。朝の3時に目覚めたせいで、僕の意識はハッキリとしているが、さっき歩いた午前5時半の町はしんと寝静まっていて、僕だけが違う空気のなかにいるようだった。外はどんどん明るくなり、僕らは酔いはどんどん進んでいく。朝の7時にはすっかり元通りに酔いが回っていた。けだるく心地よかった。そんないくつかの非日常が重なって、ひとつの確かな日常のかたちが形成されていった。昼夜逆転時の朝ビールはそうやって、うまく非日常を僕らに体感させ納得させ、幸せの休日を演出してくれる。ビールってさわやかな飲み物だから、実は朝にはよく合うしね。7時頃起きて来た岡崎氏が、どうしてもパトレイバーというロボットもののアニメ映画を見たいというので、それを流しながら僕らはごろんと横になる。そのまま、起きていた3人は朝もやのなかで意識をなくしていった。僕らの日曜日は、まだ始まってもいない。