9月28日 日曜日 米軍の町、福生。
今日は福生に行く。福生は「ふっさ」と読む。そこには米軍の横田基地があるので、町もそれなりに妙な異国情緒があるという。米軍の町なのだ。前々から少し気になっていた町。今日は小さな頃、福生の近くに住んでいたという松本氏をナビゲータに、知らない町を歩いてみた。
福生市は東京都といえども、都心からは相当遠い。僕らは松本氏の愛車フィガロで戸越から中原街道を西に向かい、多摩川にかかる丸子橋から右に折れて、土手沿いを北に向かった。多摩川河川敷は、延々と都民にアメニティ空間を提供していた。そこでは、野球をしたり、サッカーをしたり、散歩したり、大勢の人々が休日を楽しんでいた。天気は快晴。湿度も高くなく、秋晴れがこれ以上無いほど青い空を作り出していた。空き地が少ない東京では、河川敷の広場は貴重な広場で、そこを求める多くの人がそこを利用するから活気もある。広い河川敷は、たくさんの人を迎え入れて、なおゆったりしている。多摩川河川敷は、東京の風景の中でも、すごく東京らしい風景のひとつだと思う。僕は大好きだ。
そんな気持ちいい道を1時間くらい走ると、そこは武蔵野と呼ばれる地域。国立や立川など、中央線の奥地の町を中心にする地域。詳しく知らないけれど、きっとそのあたりを武蔵野というはず。僕らはユーミンの歌で有名な中央フリーウェイ沿いに車を走らせていると、目の前にビール工場が現れた。ん〜、これは立ち寄って見学しかないでしょう。当初の予定にはなかったものの、1時間半ほど、サントリー武蔵野ビール工場に立ち寄り、出来立てのビールを堪能した。運転手の松本氏は、運転手シールを胸に張り、おいしそうにビールを飲む僕にうらやましそうな視線を送っていて、とってもかわいそうだった。ほんと、ありがとう、運転手、とここで感謝の意を表明します。
その後、僕らは福生に到着。基地のフェンス沿いの道路に並ぶ雑貨屋や古着屋を物色してまわった。そのトーンはやっぱり日本のそれとは違っていて、ちょっぴりアメリカの雰囲気。雑貨屋さんにならんでいるものも、恵比寿や代官山にあるものと変わらないような気もするけど、やっぱりなんだかアメリカンテイストが効いているような気さえもしてくる。ちょっとした時計やさんに入っても、米兵とのやりとりのエピソードが聞けたりして、この町の成り立ちの独特さを感じることが出来た。僕は楽しくなってしまって、部屋用のライトや、ブランケット、CD立てなど、結構な買い物をした。
その後は外人ハウスと呼ばれる、アメリカ人のために建てられた住所を改装したレストランで食事をした。前菜の盛り合わせと、ブロッコリーのスープ、牛肉のクリームソース煮込みリングイネ、イタリアンライス。この4品を2人で注文したのだけど、それぞれ、かなりの量で、結局最後に来た名物イタリアンライスは、ほとんど食べることが出来なかった。これがアメリカンサイズってやつなのか、残すのは嫌いだけど胃は満杯。申し訳なし。このイタリアンライスっていうのは、このレストランの名物で、バターライスにチーズがまぶしてあり、トマトベースのソースがたっぷりとかかっている。その上にこんがり焼けた鳥のもも肉が乗っているというしろもの。カロリーは高めそうだけど、確実にうまい食い物だった。ペース配分を間違って食べられなかったのは不覚。
レストランに入る前に、松本氏がこの町の思い出を話してくれた。中学生の頃、その当時付き合っていた別の中学校の人と、福生でよく待ち合わせしたとか、そういう話。そういうのっていいよね。そういう場所って、行くと特別な匂いがする。その時の匂いがする。場所や季節には匂いがあると思う。松本氏も、そんな匂いがしてたのだろうか。すっかり日も暮れてしまって、アメリカンなお店のライトアップがまたアメリカンだったりして、来てよかったなぁって思った日曜日の夜。買って来た照明を取り付けたら、部屋はずっと明るくなった。