9月27日 土曜日 宮崎ラーメンという食べ物


 昨晩は案外飲みすぎたようだった。久しぶりに会った会社の同期と何時くらいまで飲んだのだろう。青山の骨董通りからタクシーに乗ったのが2時くらいだったと思う。頭がくらくらする。それでも、いつもの習慣で九時半には起きて、有楽町にある英会話教室に向かった。今日も二日酔い。いつも通りの土曜日の朝。

 今日は午後から会社に出なくてはいけないので、英会話が終わった後、英会話教室の隣にある大型家電用品店でパソコン用のスピーカーだけ買って、すぐに家に戻った。スピーカーを買ったのは、パソコン購入時の大きな目的である音楽制作に取り掛かるためである。もう一つの目的だったホームページは、だいぶ目途がついたのだけど、音楽制作は後回しにしていた。それをリスタートするきっかけ作りってところ。買ったのはMac専用の、丸くて白い、素敵なスピーカー。7,000円位だったけど、そこの店のポイントが6,000円分も貯まっていたので、手出しは1,000円で済んだ。家に戻る頃には、ようやく酒も抜けてきていた。

 会社に出る前に、昼食。近所の行きつけのラーメン屋へ向かう。実は僕、このラーメンにかなり中毒気味で、週に2回は食べてしまう。夜遅くに食べるのはよくないので、会社の帰りなど「今日は行かないぞ」と決心して通り過ぎようとするのに、漂う匂いに負けて、いつのまにか結局カウンターに座っていたりする。『宮崎ラーメン』と看板を掲げるこのラーメン屋。佇まいは、正直いけてない。『宮崎ラーメン』自体、博多出身の僕としては正体不明だし(九州ラーメンは「博多」「長浜」「久留米」「熊本」「鹿児島」がせいぜいのジャンルだ。)、入口に立っているヤシノキ風の植木も「何故だ」と突っ込みたくなる。開店したのは1年半くらい前だろうか。僕がいつも使う地下鉄の駅をあがったところに、その店は出来た。しばらくは静観していたのだけど、どうも漂ってくる匂いが何かを予感させる。ものは試しなので、一度入ってみることにしたのだった。

これが、うまかったんだな。ものすごーく。

 さっぱり豚骨スープにごま油の風味。たっぷりのモヤシ。それも「いいモヤシ」です。たくさん盛られるキクラゲと青ねぎ。そして上品なチャーシュー。博多ラーメンに煮卵は入らないけど、このラーメンには旨みの染み込んだ煮卵がとても合う。味もさる事ながら、特筆すべきは、なにより大将のラーメン屋らしからぬ接客。あまりに不自然に丁寧なので「前は何やってたんですか?」と聞くと「銀座の高級クラブで働いてたんです。でも一人から何万円ももらう商売はもう終わりです。それより600円くらいでおいしいものを提供できる方がいいと考えまして。ラーメンの味は、私が小さいころ故郷宮崎で食べたラーメンがおいしかったのでそれを再現しようとおもって・・・・」

いい話だ・・。しかも旨いよ、大将。

 その日以降、帰り道にあることもあって、よく立ち寄るようになった。今週は仕事が相当に忙しく、結局ここのラーメンを食べられなかったので、休日である今日に、たまらず駆け込んだというわけ。今日もラーメンはうまかった。店を出て、家に戻ってスーツを着込み、僕は会社に行く準備をする。空は真っ青だった。こんないい天気なのに、会社なんてひどい。最近忙しいんですよ、ホントに。

 そうそう、買ってきたスピーカー。なんと、僕のノートパソコンには接続できないことが次の日にわかる。製品のラインナップが少ないMacだから、当然大丈夫だと思っていたら、やられた。音楽制作のきっかけ作りにさっそく躓いてしまった。

これはうまいよ。

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