マイブルーヘウ゛ン / 高樹沙耶


 なんでタレント本やねん。とかいわないで。みなさんご存じだと思いますが、この女優さん、フリーダイビングに目覚めて、フリーダイビング・ワールドカップで世界2位という快挙を成し遂げています。フリーダイビングっていうのは、要はボンベに頼らずに海に潜ることです。グランブルーという映画を見たことがある人なら話は早い。あれです。この人、53メートルも潜ったらしいですよ。

 で、俺もこれをやりたいわけ。だって、断然かっこいい。ボンベに頼らないで何十メートルも潜れちゃうわけよ。そうすると、十何万円もかけてスキューバダイビングのライセンスをとって、さらに何十万もかけて道具をそろえた、スキューバやってる連中が潜ってるところに自力で行けちゃうわけ。俺の美学から言って、それってすげーかっこいいし、どう考えても楽しそうなんだよね。

 なんか、最近自己分析していて、俺が好きなことって何だろうって思ったら、それは「自力感」だって一応の答えが出たのよ。このフリーダイビングとかって、それにバシッとはまるんだよね。おまけにマスターすればイルカと泳いだり出来るわけ。それって、繰り返すけど、どう考えても楽しそうなんだよね。

 女優の高樹沙耶が53メートルも潜れるんだったら、俺だって30メートルくらい潜れそうじゃない。いや、高樹沙耶はきっとすげーがんばったんだとは思うんだけどね。だから、俺も少しがんばってみようかなと。で、分かりやすい先駆者がいて、その人の本がたまたま本屋で目に入ったから買ってみました。

 内容はというとですね、女優だけに思い込みの激しさを感じさせる、わりと一方的な文体です。(まぁ、俺も人のこと言えんけどね)。今まで、あまり失敗したことがないようで、願って努力をすれば何事もかなうと書いておりました。成功を収め、ブランド天国にいた私の価値観を変えてくれたのは海です。海はすばらしいです。と、そんな感じです。旅番組でフィンランドかどこかに行ったらしいんですけど、日本の欲にまみれた社会とは対照的な世界を見て、目から鱗が落ちたそうです。

 やっぱり、自分が生きてる世界だけを全てと思ったら駄目ですよねぇ。僕もつくづくそう思います。この人は女優として成功しているので、ハワイに家を買って、そこでフリーダイビングに集中して、ワールドカップで2位になったニュースを引っさげ、また日本に小遣い稼ぎに帰ってくるわけです。いやはや、うらやましい限りです。

 僕が30メートル潜れるようになったら、それは高樹沙耶のおかげです。

 

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