初夏





夏の虫が静かな夜を彩る中、総司は硬直していた。



目の前には、可愛らしい寝息をたてて眠る少女。



おそるおそる、セイを揺する。



「あ、あの神谷さん…起きてくだッ!!」



総司はぎくっと動きを止めた。



その手は、がしっと少女に掴まれて、少女が寝返りをうったのである。



これで、総司とセイは対峙する形となった。





手を離してもらおうと、少し腕をずらすが、それはしっかりと掴まれていて離されずにい

た。



「あのーぅ……」



総司は困り果てて、やっとそう話し掛けた。



しかしセイは気持ちよさげに寝息を立てながら、床に深く身をまかせていた。





「お布団がせまいんですけど〜〜」



総司は、涙を情けなく流しながら、そう嘆く。



そういう問題じゃないよ総ちゃん!!というツッコミはやめておいて。







総司は困ったように首をかしげると、肩を落としてぼりぼりと頭を掻く。



少女は、安心しきったようにぐっすりと寝入っていて、総司の布団の中でぬくぬくと微笑していた。







(まあ、いいか。寝ましょうかね)



総司は諦めたようにふう〜とため息をつくと、そのまま隣にもぐりこんだ。



少女の可愛い寝顔に、困ったように微笑んで、ぽんぽんと布団を叩くと、



静かに、眠りにつく。









月が、雲に隠れて消えた。

















----続く----

あれですよ!!たこあげ!!やってる子がいたの。秋なのにー