そうして、二人は仲良く帰路についていた。
セイの後ろでは、いまだに総司は肘をさすりながら、眠そうにとろとろと歩いていた。
「沖田先生、歩くの遅いですよ」
セイは振り返ってユーターンして、総司の歩調に合わせた。
「…さっきは、ありがとうございます」
セイのお礼に、総司は照れくさそうに笑った。
「いえ」
「…沖田先生」
「はい」
どこまでも続く広い畑や、畦道は、少し物哀しげに太陽に照らされていた。
葉のかげに隠れる、小さな蟻は、そのまぶしい日光を嫌っているようだった。
陽の光が、川の水に映る水を輝かせて、踊る。
静かな、水の音。
「私の探している人は…」
総司の顔が、ぴく、とほんの少し、変化した。
「なんだか、不器用な人だった気がするんですよね」
総司は、そこに伸びていた小さな葉の茎を一本もぎとって、セイとの距離を少し離した。
「…なんで、そんなアバウトなんですか?」
セイは、あ、と気付いたように振り返った。
総司はその葉で笛を吹こうとしていたらしく、葉を口にくわえていた。
「…沖田先生から質問したの、初めてですね」
「…そうですかね」
セイは、少し笑って、また歩き続けた。
総司もそれに続く。
「土方さんとか、少し、近いかなって」
セイの言葉に、総司は、ふせ気味だった瞼を開いた。
「…思ったりするんですよね」
セイの、その寂しそうな声を聞きながら、総司は葉をまるめて、息を吹き込んだ。
ピーーーーーーィ
小さな、か細い笛音が、空に消えていく。
「先生、ちょっと寄り道しましょうよ!」
セイの可愛らしい声に、総司はやさしく笑った。
----続く----
「電車男」って映画ほんとにおもしろいんですかね?…悩みちゅう…うむむ