総司が遅い眠りに深くついている頃、セイは屋上にいた。
意外と強い生暖かな風は、セイの髪をさらうように吹き抜けてゆく。
海の匂いが鼻をつく。
遠くに横たわる海は、真っ青な空のその色ををくっきりと映し出していた。
頭が少し痛い。
そのしびれるような痛さに慣れていたセイは、そのまま目を細めた。
目を細めると、空がいっそう青く見えた。
ポケットから紙を取り出す。
小さなその紙は、いつものように真っ白で。
何も書かれていなかった。
だが、その白い紙は、にじむように汚れていた。
まるで、何かが映し出されていたのだと言わんばかりに。
セイは、いつもこの紙に涙を落とす。
そのせいで汚れたのかと、錯覚しそうなほどに。
その白い紙は、ばたばたと風に揺れる。
その音を、懐かしいと思う。
白い鷺が飛んでいく。
ゆるりとまわるその優美な姿は、セイの切なさをいっそう募らせていく。
がちゃりといった異質な音に、セイは振り替える。
そこには、眠そうな顔をした、総司が立っていた。
----続く----
連載のですね〜、題名、考えるのいっぱいいっぱいでした。むつかしい…