総司は、部屋でベッドにつっぷしたまま、ぐったりと身を預けていた。
その背中を見ながら、土方はため息をついた。
ドアに背を預けて、タバコを一本取り出す。
「此処は禁煙ですよ〜」
総司のげんなりといった声も無視して火をつける。
煙が部屋に大きく舞った。
「お前、昨日は眠れなかったか」
「…だから何なんです」
「ま、お前にもやっと春がきたかと祝福に来てやったんじゃねえか」
総司はつっぷした顔を重そうに土方に向けた。
「春?今は夏ですよ、土方さんぼけるのにはちょっとはやすぎやしないかと…」
「…馬鹿かてめえは、あいつが気になって眠れなかったのもわかんねえのか」
「………………………ああ、…………そうか」
総司は、なぁんだと、納得の一声を出した。
土方はにやりと笑う。
案外うれしそうである。
「ま、オトコとオンナが一つの床で一晩過ごせばヤルこたひと…」
「昨日あんなことがあったから、無意識のうちに神谷さんを見張ってたんですねぇ、
……まったく、世話の焼ける」
「………………」
「………………」
「おまえ、何で眠れなかったのかもう一度言ってみろ」
「え?だから神谷さんがちょっとでも動こうものなら体が勝手に反応してですね、
こう、むずむずと警戒心が」
「…『むずむず』」
「ええ、『むずむず』」
「………………」
「………………」
「…………『むずむず』警戒心を起こす奴はてめえぐらいだろうよ」
「…ええ〜、もう行っちゃうんですかぁ」
「少しは寝てから考えろ、阿呆」
土方は、まだ吸いきれていないたばこを無造作に缶コーヒーの空へ落とし、部屋から去っていった。
ドアが閉まる時にはもう、総司は眠りについていた。
----続く----
今ですね!ヤオコーのでっかいゼリーにはまってます。ナタデココとパインの。へへ!