玄関から飛び帰ってきたのは、原田と名乗る、背の高いひょうきんな顔をした男だった。
「おう総司!!………………んんん?」
「は、原田さん!!おかえりなさい!」
総司と呼ばれた男は、あわててセイを隠すように背中で覆った。
しかしその抵抗も虚しく、原田はずんずんと近づいてくる。
そうして、驚いたように目を見張った。
「なんだあ〜?!そのえれえ別嬪は!!」
「い、いえこれはその…」
総司はセイの替わりに答えながらじりじりと後ずさりをする。
それにつられて、セイも後ずさりをするような形をとる。
そうしているまに、原田はずいと顔を近づけてきた。
「!」
セイはこころなしかびっくりして、目を見開いた。
「うひょ〜!!見れば見るほどかわいいじゃねえか!!」
原田の顔は、今にもよだれがたれそうな顔をしてどんどん近づいてくる。
そのまま口を突き出してくると、「ん〜〜〜♪」とせまってくる。
セイは、ぶちきれた。
ばちこん!!!!
大きな音が廊下に響いた。
セイは、原田の頬に手あとをつけて、、ふんっ!と鼻息荒く言った。
「気安く触らないでいただけますか!!」
「………?」
原田は、何が起こったのかわからずに目をしばしばさせていた。
と、隣からぶうーーーーっ!!と、大きく吹き出した男がいた。
総司であった。
「?!」
セイはいまだ怒った顔をして、その笑い出した男に顔を向ける。
「あっはははは!!!原田さんにたてつく人なんて初めて見ましたよ〜!!!」
ひい〜!!と笑いころげて腹をかかえている。
「…………」
なんだかその笑いにもむかついたセイはますます眉間にしわを寄せる。
そんなのもおかまいなしに、総司は目に涙を浮かべながら、セイの肩に手を置いた。
「貴方なら大丈夫そうですね」
先ほどの恐い顔とうってかわっての、笑顔であった。
セイは、悪い人じゃないのかも……、と、顔の神経をゆるめると、
「部屋はどこですか?」
そう、言った。
奥の座敷では、茶を啜りながら、にやにや笑っている土方がいた。
セイが、気に入ったらしかった。
----続く----
夏のむしってすきですか?
あさはだいすきです。
夏のむしは、めいっぱい大声あげられてきもちがよさそう…