落海





落ち着いたら、自己紹介をする。



たいがいパターンは決まっているもので。



それは物語でも現実でも同じこと。



「幾つですか?私は十六になったばかりです」



「年は…え〜っと………」



「…………」



「たぶん…18から21、22あたり…のどっかです」







きまずい沈黙が流れた。



が、こんなところで躓いているわけにはいかない。







「どこから来たんですか?」



気をとりなおして話を進める。



「あ、えっと……………?」



「住んでるとこです」



「…う〜……あ…えと…いろいろ…デス」



「?」



「固定してないんですよ…」



申し訳なさそうに話すその人に、ため息が出た。





これじゃらちがあかない。









自己紹介はあきらめることにした。





この人の素性は、しれない。



そのことだけがわかった。











でも、信用できるかと素性がしれないのとは違うこと。







このひとは、信用できるのか。





それが重要だった。



























----続く----

そういえばかぐや姫書いてくださいって言われました。書きます。