気付くと、海の中に躍り出ていた。
泡が激しく総司を包み込む。
慣れない視界は薄暗く、ぼんやりとしている。
服が水を含んで重かった。
やっと視界が慣れてきたが、どこにも見つけたいものはいなかった。
戸惑って海の中をまわるが、息がつらくて海面に顔を突き出した。
総司はそのまま首を大きくまわす。
探し物は、みつからない。
そうしてもう一度、潜ろうとした時だった。
「…………………ッ?!」
砂浜の方向から大きな水飛沫の音。
瞬時に視線を向ける。
そこに、少女は立ち上がっていた。
「神谷さん!!!!!!」
総司は水を含んで重くなった足で、地を叩くように走った。
二人ともずぶぬれだった。
セイの目からは、もう涙は流れていなかった。
幻だったのだろうかと思うほどセイの目はしっかりと開けられていた。
そのかわり、どこも見ていないようなその瞳は、どこまでも哀しそうだった。
「…先生…知っていますか」
セイが最初に発した言葉だった。
総司は自分の呼吸を整えるので精いっぱいで、答えることができずに少女の前で膝に両手をついていた。
「海と空は………つながっているんですって」
総司は、セイの顔を苦しそうに見上げた。
----続く----
あーーーもう寝るぞーーーー