初夏





足が冷たい。



それに気付いて目が覚めた。



総司の足にはもう、いのまにか波が侵食していた。





「…あ……?」



寝てしまったことに気付きながら、総司は目をこする。



そうしているうちにぼんやりと海の青さが視界に入ってきた。







っくしゅん



ちょっとくしゃみをして鼻をすする。





昨日、眠れなかったから…



そう、頭の中で理解する。











それから、ゆっくりと海の表面の光の眩しさに目を細める。





そうして、目の前の光景に目を疑った。



















青い海の水平線に映るのは、今にも消えそうな、小さな人影。













「………か…神谷さん?!?!」











その人影は本当に小さくて、見失ってしまいそうなほどだった。





総司は立とうとして、冷えた膝を少し押さえた。







「神谷さ………っっ」







そのまま総司は無我夢中で波打ち際に足を踏み入れる。

















セイが振り向いたようだった。







セイは光っていた。







光っていたのは、涙だった。









そのまま、とぷん、と音がした。







その音は、異質に総司の耳に届いた。













「神谷さん!!!!」











少女の影は、もう水平線に映ってはいなかった。



























----続く----

連載って結構進みますね〜!!(嬉々)