初夏





砂浜は、たやすく足を包み込んで、靴の中に砂を入れ込んだ。



波の音が、その砂を飲み込むように、やさしく返る。





「あーーー!気持ち良いですねぇー!」



総司はそう海に声を吸い込ませた。





総司の大声に少し驚いたセイは、ぴくりと目を動かした。



総司はそのまま砂浜に自転車を横たえると、海へと向かっていく。





風にはためく服が、ぱたぱたと軽快な音を立てた。





セイは自転車の横から一歩も動かずにその背中を見つめていた。







総司は砂浜に尻をつけたかと思うと、寝転んでいた。





砂が頭につくことなど気にしていない様子である。



「神谷さん何ぼーっとしてるんです?」



首だけ動かしてそう叫ぶ。







「…」



セイは無言で総司に近寄った。





セイが総司の顔の横まで来たときには、もう目を瞑っていた総司がいた。









セイはゆっくりとそこに座り込む。







それ以上、総司は何も言わず、何も見なかった。







ただ波の音を楽しんでいるかのようだった。













セイは、海をじっと見つめていた。











それから、総司の顔を上から眺める。







「…沖田先生?」







総司は、静かに寝ていた。



















----続く----

星の砂ってなつかしくないですか??(先ほど発見した)