初夏





日曜の朝は、いつものように、変わらずやってきた。



ただ、起きる時間がほんの少し遅いだけ。



窓から緑が光り、朝露をぴちょり、と屋根を潤した。



総司は、セイが起きるのを待っていた。





じっと、不思議なものでも見るかのように、セイを眺めている。



すやすやと、安心しきった顔で眠るセイの頬は、布団のぬくもりに、頬を桃色に染めていた。



「…ん…っ」



小さく身じろぎをしたセイに、総司はぴくりと顎を引く。









それから、セイが何かをつぶやいているようなので、ちょっと耳をひそめた。



「……うみ………」







うみ



総司は頭の中で、それを無意識に繰り返した。







そのまま、目だけを窓に向ける。





何かを考えるようにその目を薄めると、総司は首をぽりぽりと掻いた。







そうして、もう一度セイの顔をじっと見据える。







やわらかな風が吹いているのが、部屋の中からでもわかる。









セイが、瞼を開いた。







セイの瞳が総司を捕らえると同時に、総司は言った。





「海に行きましょうか」

















セイは、何を言われたのか理解していなさそうな瞳を揺らして、





「……はい………?」





と、つぶやいた。



















----続く----

まだ序章なの、知ってましたか?ええ…。序章…。