初夏





此処で、総司のことについて話しておかなければならない。



沖田総司。



教師であるが、年は若い。



だが、本人に聞いても無駄だ。数えていない。たぶん27、28くらいだろう。





最初に登場したシーンを覚えているだろうか?



彼は白いタオルをほっかむりにして汗だくになって畑から飛び出てきた。



何をしていたか?





あの土方と、畑仕事をしていたのだ。





何を作っていたか。



トマトととうもろこし。



いい出来だ。とうもろこしには実が大きくついて、食べられるのを待っていた。







この田舎で、手を泥にして畑仕事である。



それもずいぶん手慣れている。とうもろこしがその証拠だ。





そんなオトコが、女というものを知っていただろうか?



答えは、言わずもがなである。





女の人といえば、80近いおばあさんと笑い会うぐらいであり、彼はそれに満足していた。



そんな彼の行く末を心配する周りの目(主に近藤、土方)をよそに、彼は純粋に田舎に生きてきた。





それ以外のことは知らなかった。







ただ、剣術を好んでいたらしい。



だが、これは後に書くことになるので、はぶく。





そんな彼が、年頃の娘を目の前にしたらどうなるか?





どうにもならない。





なぜならば、彼は、年頃の娘が、若い自分にとってどういうものかさえ知らないのである。



ただ、どうしていいかわからないまま、彼女に本能で接するのである。







そう、ただ、純粋に、一人の人間として。





そこには、おとこもおんなも無い。















だから、彼が彼女を、セイを、布団の中に招くことはたやすいことであった。





















----続く----

父が今日、魚を釣って帰ってきました(だから何だ)