次の日から、その人は学校へ来なくなった。
放課後、3−Bを覗いても、そこには数人の女生徒が笑っているばかりで。
一月がたっても、その人は、来なかった。
放課後になると3−Bの前に行った。
あんなに怖かったのに、それでも期待する自分が不思議で仕方がなかった。
ただ、こうして会えなくなっていくのだろうかと、思った。
そんなある日、噂を聞いた。
さとからまわってきた情報だった。
「知ってる?せいちゃん、3−Bのあの人、退学になるかもって話」
「…え?」
「登校拒否がこれ以上続くと、退学の可能性があるて」
「たいがく?」
「うん、ようわからへんけど、噂になっとるよ」
「…退学」
「うん」
せいは早退していた。
何故、どうやって早退したのか自分でも覚えていない。
ただ、周りの景色がめまぐるしく動いたのは覚えていた。
手には、地図。
あの人の所へ。
あの人の、笑顔を見に。
あの人の、黒い瞳を見に。
どちらが本当のあの人でも、かまわないから。
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