とりあえず近くの街に宿を取った一行は夜を迎える。
「何であんなの仲間にしたのよ、フリード!」
「そうでゲス、なんかイマイチ信用できんでゲスよ」
一斉に文句が吹き出す
「やれやれ、お嬢さんにも嫌われちまったなぁ」
「あんたを守るナイトになるって言ってるじゃないですか?この俺が」
相変わらず口は減らないようだ、そしてさらに続ける
「ふぅ、酒が回ったみたいだ・・・今夜は良い月だし、酔い覚ましてくるよ」
外へ向かうククール・・・フリードが後を追う。
月明かりの下で座り込むククールの横に人影が近づく。
「誰だ?」
いつもと違う鋭い眼光で身構えるククール。
「ふっ、やはりな・・・気配を消したつもりだが気がつくとは」
背後に近寄っていたのはフリードだった。
あわてておどけて見せるククール
「おやおや、フリードさんじゃないの、アンタも酔ったの?」
横に座り話を続けるフリード
「軟派な仮面かぶるのも疲れるだろう・・・話してみないか?少しは楽になるぞ」
「それに、今のままではあの二人も納得いかんようだしな」
沈黙し、しばし考えるククール
「お見通しかよ・・・まいったね、どうも」
「お察しの通り、こうでもしなきゃ、あそこにはいられなかったんでね」
語りだすククール
「マルチェロってのは、俺の腹違いの兄貴でさ・・・いわゆる妾の子だよ」
「俺が生まれたとたんに家追い出されてあの修道院に拾われたんだ」
「俺は俺でその後、両親死んじまってな・・・途方にくれて向かった先があの修道院さ」
「兄貴にしちゃあ、また居場所を奪われると思うのも当然さ」
いつの間にかゼシカとヤンガスが聞き耳を立てている。
フリードが問う
「それで間抜けな騎士の振りか・・・その割には身のこなしはたるんでないな」
見透かされたようで、少し照れながら答えるククール
「院長を守らなきゃって思ったからな・・・親父代わりのな」
「武芸と言われるものは色々やったさ、弓なんか結構なもんだぜ?」
「兄貴にとっちゃ厄介払いだろうけどな、俺にとっちゃ大マジだからな・・・こうなった以上、しばらく世話になる」
軟派な男の顔は消え、意志を固めた男の顔がそこにはあった。
「ちょっと誤解してたようね、あらためて宜しくってことでいいかしら?」
「大変だったんでゲスね・・・オイラそういう話に弱いでゲスよ」
いつの間にかゼシカとヤンガスが横にまで来ている。
ヤンガスは涙ぐんでいる。
「お、お前等いつの間に・・・って、フリード!最初ッから皆に聞かせるつもりでっ」
ククールは照れながら怒っている。
「そうでもしなきゃ話さんだろう・・・これでお前も仲間だ、四人目のな」
笑いながらフリードが言う。
「ちっ、かなわねぇや」
諦めたようにククールが笑う。
ここにドルマゲスを追う、四人の仲間が結集した。