葛藤



仲間が四人になったことで賑やかになる一行。
街に向かう途中で出くわすモンスターにも楽に勝てるようになってきた。
「ねぇ、早くドルマゲス追っかけてやっつけちゃわなきゃね」
「そうでゲスなぁ、最近はオイラも少しは強くなった気がするでゲス」
「俺の弓も良い調子だぜ」
連戦連勝に強気な一行の中、黙々と剣を振るフリードを見てヤンガスが問う
「兄貴、まだ練習でゲスかい?一休みするでゲスよ」
的から目をそらさず答えるフリード
「まだだ、まだ足りん・・・お前達はもう忘れたのか?あのドルマゲスの気を」
「身動きさえとれず見ているだけだっただろう」
返す言葉が出ない三人
「やられちまったら二度目はないんだぞ」
「もっと強く・・・せめて剣だけでもあの技が出来るようにならんとな・・・」
しんと静まり返る一同
「すまん、場を暗くしてしまったな・・・汗を流して頭も冷やしてくる」
立ち去るフリード
「気負いすぎじゃねぇのか?確かに俺らも甘いところがあったけどよ」
「兄貴は真面目でゲスから」
「ねぇ、フリードが言ってたあの技って?」
ゼシカが二人に問う
「ギガスラッシュのことじゃろう」
トロデ王がいつの間にか後ろにいた。


 焚き火を囲み、トロデ王の周りにみんな座り込み話を聞いている
「あやつは、ワシらが呪いを受ける直前まで近衛騎士団の団長を務めておったのじゃよ」
「わが国出身ではないものの、その圧倒的な実力でその座を得たんじゃ。」
「剣だけではないぞ、槍、ブーメラン、格闘、呪文とどれをとっても負けぬ最強の男じゃった」
「その必殺技としてあやつは、ギガスラッシュ、ジゴスパーク、ギガデインを持っておった」
ククールが驚愕する
「ちょ、ちょっと待てよ・・・それひとつでも一生かかって覚えられるかどうかの技だぜ?」
トロデ王は続ける
「詳しくは言えんが、あやつは我が国に来た時からその技を持っておったよ」
「血なのか、才能なのかはワシも解らんがの」
「あの事件で失った力がもどかしいんじゃろう・・・かつて出来た技が出来んのじゃからな」
黙り込む一行
「でも、今フリードは独りじゃないんだから」
「アタシだってひとつくらいは極めて見せるわよ!」
「そうでゲス、アッシだってやるでゲス」
「そんな簡単にいくかね?・・・まぁ、俺もやるだけはやってみるさ」
「さて、頑固者を迎えに行くかの」
トロデ王が立ち上がる。
 川の浅瀬で水を浴びながら考え込むフリード
(勝てるのか・・・今の俺で、あの強大な敵に・・・)
水面を拳で叩きつける。
(それに、力を取り戻したとしてもはたして・・・)
何度も拳を水面に打ちつけ、川底に膝をつき、うなだれるフリードであった。









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