院長の部屋の中で待っていたのは惨憺たる殺戮の後である。
「貴様ドルマゲス!忘れたわけではあるまい!早くわしと姫を元に戻せっ」
後ろから着いて来ていたトロデ王が叫ぶ
「ククク・・・これはこれはトロデ王ではございませんか、御機嫌麗しゅう・・・ククク」
そのどす黒いオーラに一瞬たじろぐヤンガスとゼシカ
「コ、コイツがドルマゲスでゲスか・・・こいつぁ・・・」
「何?この感じ・・・息が出来ない・・・」
二人をかばうように立つフリード
「ほう・・・私の気を前にたじろがないとは・・・ん?貴方は・・・いや気のせいでしょう」
「ククク・・・しかし御自分でも解ってらっしゃるようだ・・・まだ到底私には及ばないと・・・」
(確かに、今の俺ではまだ歯がたたん・・・しかしっ)
剣を握る手に力が入るフリード
「まずその様な姿でも生きながらえようとする醜いアナタ・・・そう、トロデ王、アナタから楽にしてあげましょう・・・」
ドルマゲスが杖を構えたその時!
トロデ王をかばうように院長が身を投げ出す。
フリードが駆け寄り抱き起こすが、急所を一撃で貫かれ絶命寸前である。
「お若いの・・・そなたには不思議な力を感じる・・・ここで死んではならん・・・」
「ククク・・・院長が死に急ぎましたか・・・それも良いでしょう」
「仇を討ちたいなら追ってくるのですね・・・出来るなら、ね・・・ククク」
ドルマゲスは闇に消える。
翌日、しめやかに行われた葬儀の後、団長室に呼ばれる一行。
「よくおいでくださいました・・・疑って申し訳なかった、まずは非礼を詫びます」
「さて、私も父親代わりでもある院長の仇を討つために後を追いたいが立場がそうもさせてくれません」
「つきましては、私の弟であるククールを皆様と同行させることをお許しいただきたい」
「これは皆様の旅の足しになればと、ご用意いたしました」
一気に喋り終わった後、詳細な世界地図を渡すマルチェロ
「待ちなさいよ、何でこんな優男と・・・」
言いかけるゼシカをフリードが静止する
「御厚意ありがたくお受けします。弟君も確かにお預かりいたしました」
一礼し立ち去るフリードの後をあわてて追うゼシカとヤンガス、ククールも後に続く。
「ま、みんなこれから宜しくな。」
あっけらかんと言い放つククールに、フリード以外は戸惑っているようだ。