赤い雪



 メディの山小屋に着くと、すでに狼で包囲されていた。
奥の遺跡からメディが呼びかける
「あんた達!こっちにおいで!ここなら狼どもも手を出せないから」
遺跡の奥に強力な結界が張ってあった。
「黙っていて悪かったね、私は七賢者が末裔の一人なんだよ」
「今、次々に末裔が殺されているのは風の噂で聞いてるさ」
話している最中に、禍々しい気が辺りを支配する。
「おや、話している場合じゃないようだね・・・いつまでも此処に篭っていられるわけじゃあなさそうだねぇ」
結界の外に出ると、あのレオパルドが杖を咥え、足元にはグラッドを踏みつけていた。
「出てきたか・・・賢者の末裔よ・・・息子の命惜しくば、此処まで出て来い・・・」
グラッドを踏みつけながらレオパルドが吼える
「グラッドを放すのが先だよ!」
メディが叫ぶ
「貴様に選択肢が無いのが解らんのか・・・さっさと来い」
さらに強くグラッドを踏みつけるレオパルド
「仕方ないね・・・あんた達は下がってな、この老い先短い命を賭けるところを見届けてやっておくれよ」
「後は・・・頼んだよ」
意を決したかのようにメディはレオパルドに立ち向かう
レオパルドの眼前まで来た刹那、メディはヌーク草の粉末を投げつける
「グキャアッ!」
レオパルドが怯んだ隙にメディの愛犬がグラッドを助け出す。
その瞬間メディの体をレオパルドの杖が貫く。
吹き出した血が、周りの雪を真っ赤に染め上げる。
「ばあさぁぁぁぁん!」
「おばあちゃぁぁぁん!」
ヤンガスが、ゼシカが叫ぶ
「貴っ様ぁぁぁぁ!分かり合えた親子を引き裂くその非道!決して許すわけにはいかん!!」
怒り心頭のフリードが剣を構える
「今回ばかりは俺もマジに切れそうだぜ!子供の目の前で親を・・・この野郎!ブッ殺してやる!」
惨劇の記憶が蘇ったククールも、いつもの軽口は消え、鬼気迫る顔で弓を構える。
「フハハハハ・・・そう急くな・・・賢者の末裔を始末した今、貴様等とやりあっている暇は無い・・・どうしてもというなら追ってくるが良い・・・来れるならな・・・フハハハハ」
賢者の血を吸って杖の魔力が上がったのか、レオパルドに羽が生え上空高く舞い上がる。
「飛び上がりやがったでゲス!」
「空を飛ぶなんて・・・あれじゃ追えないじゃない!」
ヤンガスとゼシカが口々に言う。
「ま・・・待ってくれ君達・・・」
グラッドが声をかける
「私に多少考えがある・・・ただ・・・今は、今は母さんを埋葬して偲ぶ時間をくれないか・・・」
「ああ・・・すまん、俺達の力がもう少し・・・」
フリードが冷静さを取り戻そうとする
「絶対・・・絶対許さない・・・必ず追い詰めてやる」
「ああ、もうこの先ずっとマジだぜ、軟派騎士は封印だ」
メディを埋葬した後、四人はこの理不尽な殺戮を、自分達の力で必ず決着をつけると墓前に固く誓うのであった。






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